充実した週末の時間を過ごすために必要なのは、自分の心を見つめる、豊かな「ひとりの時間」。本来の自分を取り戻すための“孤独のレッスン”を、心の専門家に聞きました。
心を“ないがしろ”にすると感情が麻痺してしまう
「働く女性こそ、自分を取り戻す“孤独な時間”が必要です」 そう話すのは、明治大学教授で心理カウンセラーの諸富祥彦さん。充実した日々を過ごしているはずなのになぜか心が満たされない、絶えず誰かと一緒にいたり、SNSでつながっていたりしないと不安─。私たちが陥りがちなこうした悩みの原因は、「自分の心を“ないがしろ”にしているせい」だと指摘する。「周りの顔色をうかがいながら無理して意見を合わせたり、他人の評価を気にしたりしていると、自分は本当はどうしたいのかが分からなくなってしまう。週末も常にスケジュールがいっぱいで、自分と向き合う時間がない人も、“過活動な生活”のなかで心をおろそかにしている状態です」
本来の自分を取り戻すには、心を見つめる「ひとり時間」を持つことが大切だという。
「心の声に耳を澄ませ、浮かんだ思いをノートに書き留めて、心と照らし合わせる“フォーカシング”が効果的。“私はこうしたい”という本当の感情に気づくことで、埋もれた心を取り戻せる。孤独な時間を磨くことで、心が解放され、人間関係にストレスをためない自分が手に入ります」
特にライフイベントが増えて生き方に迷いがちな30代こそ、そんな“孤独の習慣”を持ってほしいと諸富さんは強調する。
「自分の軸ができることで、世間や周りに流されず、“心が求める選択”ができるようになり、納得感のある人生が歩めますよ」
なぜ、私たちに「孤独」が必要なの?
取材・文/西尾英子

明治大学文学部教授
筑波大学大学院博士課程修了。教育学博士。現在、大学で教鞭を執るほか、臨床心理士としてカウンセリングも精力的に行う。『他人の目を気にしない技術』(大和出版)など著書多数。
http://morotomi.net/
「これ以上の情報をお読みになりたい方は、日経WOMAN誌面でどうぞ。」