40代に入ったら“定年後の仕事人生”をシミュレーション
老後のお金不安を解消するには、定年後も働き続けることがベスト。とはいえ、まだ30~40代の働き女子にとって定年後の仕事人生をイメージするのはなかなか大変。これまで50人以上の定年後の女性を取材したエッセイストの岸本裕紀子さんは、「これからの世代の働き女子には、戦略的に定年を迎える準備が必要」とアドバイスする。
「今の60歳以上の女性たちは、忙しく働くうち、準備不足のまま定年を迎えてしまった人が多い。男性同様、定年の寂しさを感じるのは仕方ないと思います。ただ、定年後の仕事も楽しんでやる! と発想を切り変え、準備をしてきた人は、第2の仕事人生も充実していますね」
2013年から、原則65歳まで働き続けることが可能に。「少子高齢化で人手不足が進み、今後、高齢者の女性が活躍できる場所が増えていくのは明らか。ほとんどの人が70代まで働く時代になるでしょう。ずっとハッピーに働き続けるには、定年まで流されて過ごすのではなく、その後のシミュレーションをきちんとしておくことが大事」
そのためには、“自分はどうなりたいか”を考えておくべきだと岸本さん。
「ポイントは、自分にとっての優先順位を明確にしておくこと。やりがいを求めるのか、お金はどれくらい稼ぎたいか。1つずつ具体化していくことで、どこでどう働くかといった自分の求めるスタイルがイメージできるようになる。人によっては、早期退職でやりたい道に進むという選択肢も出てくるでしょう」
40代からイメージしつつ、50代になったら行動を開始!「“こんなことができます”と、周りに声掛けしてタネまきをしておく。人とのつながりから、次の仕事人生が開けていく場合も多いんですよ」
岸本裕紀子さんが見た、今の「定年女子」のリアル
ここは見習いたい/趣味や楽しみがたくさんある
子育てや家事の傍ら、ショッピング、旅行も楽しんできた世代。定年後もやることはたくさんある。子供に頼るつもりはなく、自分で生きていくという考えも強い。ただし、親の介護を抱えている人は多い。
ここは反面教師としたい/定年後の働き方について無計画だった
定年まで働くとは思っていなかった世代。忙しく働いているうちに、準備不足のまま定年を迎えてしまったという人が多い。定年は寂しく、残念なことだと感じている。
ここは恵まれている/老後資金にはあまり困っていない
年金などが恵まれている世代で、お金の不安を口にする人は少ない。国債、保険などの元本保証型商品の運用で、老後資金もつくれた。ただし、年金だけで暮らせるという人も少ない。

エッセイスト、評論家。集英社『nonno』編集部勤務を経て米ニューヨーク大学へ留学。帰国後、文筆活動を開始。定年を迎えた60代の女性50人に取材し、定年後の生き方や、抱いている想いを『定年女子 これからの仕事、生活、やりたいこと』(集英社文庫)で紹介している。
取材・文/西尾英子
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