「言われたことをやるのが、プロ意識」
「自分を理解してもらおうと期待しない」
「理想が消えたあとにこそ道は拓ける」

新年早々、筆者の心を救ってくれるといっても過言ではないこれらの格言は、あの蛭子能収さんの著書『蛭子の論語 自由に生きるためのヒント』の言葉。
本書は中国の思想家・孔子の『論語』を蛭子さん流に読み解いたものだが、孔子というよりもむしろ“蛭子”の生き方=蛭子イズムが全編に横溢し、それらがいちいち的を射ていて、激しく共感してしまう1作なのである。
そこで今回、蛭子さんに会いたい一心で取材を敢行。本書の話をお聞きしつつ、“蛭子的生き方”を伝授してもらった。
漫画家として1970年代にデビューして以降、40年以上にわたり「蛭子さん」として我々の心に漂っている、蛭子能収氏。「エヘヘ」と笑いながら頭をポリポリし、いつも所在なさ気な、テレビで見るそのまんまの蛭子さんが、我々の前に降臨した!

自分が舐められてことが収まるなら、舐められている方がいい
編集部(以下、編集):『蛭子の論語』の前作『ひとりぼっちを笑うな』も9万部突破ということで、今空前の「蛭子ブーム」ですね。
蛭子:でも俺は冷静に考えていて、この人気ももうすぐ終わりだなって思っていますよ。本が売れたからといって調子に乗って浮かれたり大騒ぎしたりするような、派手な動きもしないです。
編集:でも、少しは自慢とかしたくなりませんか。
蛭子:そういうことを言ったら引く人の方が多いでしょ。俺は常に自分はなにもできなくて知識もない、下層の人だと思って喋っているんです。変に自分を高いものに見せて振る舞うと、後で知識がないことがバレたら恥ずかしいじゃないですか。なので人と話す時は、姿勢を低く低くしている方がラクですよ。
編集:働き女子もキャリアを積めば積むほど「バカにされちゃマズい」と勝手に鎧を着てしまいがちです。
蛭子:俺はバカにされることに馴れているんです。そうすると大体なんでも平気になりますよ。相手がどのくらい舐めてかかってくるかはわかりませんけど、殺されることはないでしょうし、自分が舐められることでうまくその場の折り合いがつくようだったら、それでもかまわないと思っちゃうんです。
編集:己のプライドではなく平和を優先するんですね。さらに我々はプライベートでもSNS上の友達の数や「いいね!」の数でも張り合っているようなところがありまして…。