エンペシドLのWebサイトで公開中の漫画『ひとりで、できる。』が、大反響を呼んでいる。作者は、女性の内面を赤裸々に描いた作風で人気の花津ハナヨさん。女性の5人に1人が経験するといわれる「腟(ちつ)カンジダ」を題材に、キュンとする共感ストーリーを展開している。実は自身も経験者であるという花津さんに、作品に込めた思いや、今だから言える当時の心境を打ち明けてもらった。
強烈なかゆみの原因は「腟カンジダ」にあった

──『ひとりで、できる。』に登場する3人の女性たちに共通するのは、腟カンジダに悩んでいるという点。かゆみや恥ずかしさといったリアルな描写が共感を呼んでいます。
花津 自分が体験したことなので、描きやすかったですね。あれはね、本当にかゆいんですよ。もう燃えるようにかゆくて、仕事にも集中できないぐらい。でも、場所が場所だけに、人にも相談できなくてずっとガマンしているしかないっていう。
──初めて発症したときのことを教えていただけますか。
花津 最初は20歳ぐらいのときで、ある日突然あそこがかゆくなったんです。当時はまだネットも普及していなくて、今みたいに手軽に検索することもできず、ただ悶々(もんもん)と悩んでいました。こんなにかゆいのは何かバチでも当たったんじゃないのか。うーん、思い当たることがないでもないぞって(笑)。

──あるんですね(笑)。そのときは、どう対処されたんですか?
花津 漫画にも描いたんですが、風を当ててみたり、通気性のいいコットンの下着に替えてみたり。あと、ちょうどその頃、友人がアジア旅行のお土産にくれたメントール入りの軟膏を塗ったりもしましたね。痛くて絶叫しました。違う用途ですから当然ですが、これは絶対にお勧めしません!
──誰かに相談したり、病院に行ったりは?
花津 当時女の子4人でルームシェアをしていたんですが、その子たちにも恥ずかしくて言えませんでしたね。病気だとも思わなかったし、忙しかったこともあって病院にも行かず、自然に治まるまで何週間もかゆみに耐えていました。そんなことが何度かあって、ようやく腟カンジダだと分かって婦人科を受診したのは、それから5年ぐらいたった頃です。

──何をきっかけに、受診されたんですか?
花津 実は、少女漫画好きが集まるチャットで、「ここで聞くのも何ですけど」って悩みを投稿してみたんです。そうしたら、「腟カンジダじゃないですか?」って言われて。そんな病気があることも、そのとき初めて知りました。で、掲示板のみんなに勧められるままに病院で診てもらったら、大当たり。病名がついたことで、安心もしました。
──病院ではどんな治療を?
花津 お薬を患部に挿入したり、塗布したりというのを6日間毎日続けました。途中で通ってる病院がつぶれるというハプニングがあったんですが、すぐ次の病院を探して無事完治できました。こんなことなら、早く受診すればよかったと心底思いましたね。ただ最初の頃は、「どこがかゆいんですか」とか聞かれてものすごく恥ずかしかった覚えがあります。「俗称は知っているけど、医学的には何て言えばいいの?」みたいな(笑)。