ベビーシッターも人手不足 マッチング型も供給が追い付かず

 人手不足の壁に直面しているのは、ベビーシッター業界も例外ではありません。ベビーシッターサービスは保育園における保育士といった特別な資格を必要とする仕事ではありません。事業者はこれまで、一般の応募者の中から安心して子どもを任せられそうな人を厳選して採用し、さらに研修やOJTなどを通じて一人前の保育者として育て上げ、活用してきました。

 しかし、人手不足が深刻化する中で、ベビーシッターの応募者数自体が減っています。一方で、共働き世帯の増加により、利用ニーズは増える一方。「サービスを使いたいときに使えない」という状況も多々起こっている模様です。実際、日経DUAL編集部がランキング上位の事業者のサービスをスポット利用しようとしたところ、「前日まで手配が確定せず、利用できるかどうか分からない」ということもありました(詳しくは後日掲載予定の利用レポート参照)。

 最近では事業者がベビーシッターを直接雇用せず、利用者と登録シッターをつなげるマッチングに徹する事業者も登場していますが、「マッチング型でも、登録シッターが足らず、利用者のニーズに応えられないケースが多発しているようです」と、船井総合研究所の大嶽広展さんは指摘します。

どんな理念を持ち、どんな研修を施しているのか「企業姿勢」まで確認を

 このように人手不足が深刻化する中で、家事代行、ベビーシッターの両業界ともに懸念されるのがサービスの質の低下。応募者数が減っている以上、事業者は採用基準をある程度緩めざるを得ないこともあるかもしれません。

 「そうした悪条件の中でも、サービスの質を維持するため、事業者はしっかりした企業理念を持ち、研修などを通して人を育てていく努力をしていくべきだし、そうした企業姿勢をサイトなどを通じて利用者にしっかり伝えていくべき」と大嶽さんは指摘します。

 逆にいうと、利用者の側も、「価格が安い」「ネットで検索したら上のほうに表示される」といった表面的なことだけに目を向けるのではなく、企業姿勢にまで目を光らせ、しっかりとした事業者を選んでいく必要があるということです。大切なわが子やわが家を安心して任せるためには、親の「目利きの力」がこれまで以上に必要になっています。