息子のチャレンジに対しては、夫婦で綿密に役割分担
実は僕、息子の小学校の宿題を見てあげるのが待ち遠しいんです。勉強を教えるのは未知のことだし、どういうふうにすれば息子をのせることができるか、もう楽しみで。僕自身、何でもゲーム感覚で楽しむのがモットー。勉強だって、どうせ九九を覚えなくちゃいけないんだったら、楽しんだほうがいいですよね。
それに子どもに教えるのって、自分の勉強にもなるじゃないですか。うちではお風呂場の壁に日本の歴史や世界地図、掛け算が貼ってあって、息子と見ているんですが、これは僕が読みたくてやっています。小学校低学年レベルのものですけど、県の紋章とか、ずっと見ていると覚えちゃう。こういうものって、どうでもいいことのようで、思いがけないときに役に立ったりするんですよ。
うちの妻は何事も完璧ですが、教えるのだけは「パパがやったほうがいい」って言われます。息子はまだ自転車に乗れないんですけど、うまくいかないことに対して諦めるのが早い。それに対して、妻は「男がやるといったらしっかりやりなさい!」って根性論で押すタイプ。もちろんそれも必要なことではありますが、僕は成功体験をどうするかということを考えます。
自転車ってバランスだから、「まずは30秒、片足で立てるようにしよう!」と、ゲームっぽく誘います。ストップウォッチで測って、「お、行ったじゃん! 自転車もそれだよ!」って言うと、息子も「なるほど」ってなる。僕はそうやって少しずつハードルを下げていくやり方です。縄跳びとかも、跳んでいるところをスマホのスローモーションの動画で撮ると、面白くて自分の姿を見るんですよ。「そうか、右手が上がっちゃっているから跳べないんだ」っていうことを考えたりするのが息子は好きなので、やる気のスイッチが入る。
ああ、体があと5、6個あったら、1個は何かの先生になってみたい。たぶん、教えるのうまいと思いますよ(笑)。
妻がムチで僕がアメというのは、全部事前に話し合ってやっていることです。2人で論破したら息子は追い詰められてしまうので、妻には「私は厳しくいくから、逃げ道はあなたが作って」と言われています。「あなたばっかりいい役回りでずるい」っていう次元の話ではありません。その場の勢いで言っていることまで、一字一句理由があるというのが土屋家です。
(取材・構成/日経DUAL編集部 谷口絵美 写真/鈴木愛子)
