2020年から小学校で必修となるプログラミング教育が注目されている。カナダ在住のタンメイ・バクシさんは15歳。最年少プログラマーとしてIBMの人工知能(AI)、ワトソンの開発に携わっている。5歳からプログラミングを始め、ホームスクーリングで教育を受けながら、世界各地の国際会議や学会、企業などで講演もする。そんな天才プログラマーはどのように育ったのか。来日中にインタビューが実現した。3回シリーズの第1回は、「プログラミングと出合った子ども時代」について聞いた。
父が楽しんで仕事をしているように見えた
時にほほ笑み、やや早口で、快活に話す。10代の天才プログラマーと言われる、タンメイ・バクシさんはエネルギッシュで、情熱にあふれていた。インドで生まれ、カナダのトロント郊外で育つ。プログラミングとの出合いは5歳のとき。プログラマーの父、プニートさんが家で仕事をしている姿を見ているうち、心を奪われた。
「目の前で魔法を見せられたようでした。『これは何だろう、もっと知りたい』という気持ちでした」(バクシさん)
興味津々だったバクシさんに、プニートさんは簡単なプログラミングを少しずつ見せていった。計算をしたり、名前を表示したり。バクシさんからの質問には何でも答えた。
「まだ仕事がどういうものか、わからなかったのは幸いだったかもしれません。父は楽しいから家でプログラミングをしていると思っていました」(バクシさん)
バクシさんにとって、プログラミングはワクワクするような楽しい時間だった。ほかの子どもたちと同じように、自転車に乗ったり、卓球をしたり、友達と遊んだり、テレビを観たりして過ごしていたが、その一方で、「暇さえあれば、プログラミングをしていた」と母親のスミタさんは振り返る。プニートさんも、「寝る時間になっても、『あと10分だけ』と言いながら、時間を惜しんでプログラミングをしていた」と話す。
