子どもによって「静」と「動」の好みは異なります。例えばブロック遊びが好きな子に、いきなり「外でトンボを追いかけよう」と誘っても、「ヤダ―」と拒否されるかもしれません。「静」が好きな子であれば、外でも木の枝で何かを作ってみるとか、葉っぱにお絵かきをするなど「静」の遊びから入ったほうが、とっつきやすいかもしれません。

安心安全の環境を整えてあげるのは大人の役目

 どちらかばかりだと飽きることもあります。「静」と「動」のバランスを考えてうまく誘ってあげる。親の役目は環境設定です。直射日光の下では、「かく」「つくる」などは楽しめないから、日陰を選んだり、蚊が多いなら、虫よけスプレーをしてあげたり。反対に「動」の遊びで走り回っているのに、長袖で汗だく、みたいなことは避けてあげる。安心安全の環境を整えてあげるのは大人の役目です。

 例えば、「動」の遊びを子どもがしたがっているけど、少し先へ行くと、車が通るから危険だとします。そんなときは、「好きなだけ走り回っていいよ。でも、この道から先は車が出てくるよ。突然飛び出すと車にひかれて、体をけがして病院へ行かなくてはいけなくなるから、この木までは好きなだけ走り回っていいけど、ここから先はストップだよ」などとなるべく状況を思い描けるように具体的に伝えましょう。漠然と「危ない」と言われても子どもは分かりません。

 いきなりネガティブなことを言われると子どもは嫌がりますから、ポジティブな「好きなだけ遊んでいいからね」というセリフから伝えるのがおすすめ。部下に何かを伝えるときにも、言い方を工夫しますよね。それと同じです。

(取材・文/日経DUAL編集部 小林浩子)

長谷部 雅一(はせべ まさかず)
有限会社ビーネイチャー取締役。1977年生まれ、埼玉県出身。
2000年から2001年にかけて世界一周の旅を敢行。東京都内などの保育園や幼稚園などで自然体験を通じてボディーバランス、感性、社会性などを育むネイチャープログラムを実施している。アウトドアイベントの企画・運営、研修講師、自然ガイドなども務める。
著書は『ネイチャーエデュケーション』(みくに出版)など。
5歳児のパパでもある。