最も多いのは平手打ちによる手のひらの痕ですが、縄跳びや電源コードで叩かれてできるひも状の痕が肩などに残る場合もあります。また「=」の形のように、2本の線が平行についているあざは、硬い竹ぼうきの柄のようなもので強く叩かれたとき、ふちの部分でできることが原因です。そら豆状のあざはつねられたときにできるもの。特に服に隠れる部分にこのようなあざがあると、虐待が強く疑われます

親は「たばこを持った手に当たってしまった」などと言い訳

写真はイメージです
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 たばこのやけどの場合、親は必ずと言っていいほど、「子どもが突然走って来て、たばこを持った手に当たってしまった」などと言い訳するといいます。しかし子どもは熱いものに手を触れたら、反射的に腕を引くもの。すると傷は浅く、こすったような長方形の痕になります。「丸くて深い傷は、押さえて故意にしないとできない。つまり根性焼きです」(小橋医師)

 6カ月未満の、ハイハイもできないような赤ちゃんの顔の傷は、特に要注意です。「自分では動くこともできない赤ちゃんの顔にあざがある、というのはかなり切迫した状況で、医療現場では虐待の最重症に準じて対応すべきケース」。小橋医師自身も、顔にあざのある赤ちゃんを診療して児童相談所に保護を強く勧めた経験がありますが、「この子は結果的に家に帰された後、心肺停止状態で再び病院へ搬送され、亡くなりました」。

「犯人捜し」はNG、答えを誘導するような聞き方は避ける

 身近な子どもに万が一、こうした傷を見つけたら、客観的な情報を保健所、行政の相談窓口などにつなぐ必要があります。子どもはけがの治りが早いため、あざなどはじきに消えてしまいます。医療関係者でなくても、もしできるなら、けがを見つけたらスマホなどで撮影し、記録を残すことが重要です。可能なら子どもが識別できるよう顔を一緒に写し、10円玉や定規などもそばに置くと、けがの大きさが分かりやすくなります。