共働きならではの「グレーにしたいゾーン」をどうするか
―― 共働きの場合、この作業を夫と妻の両方がしないといけないのですよね。
氏家 そうですね。どちらがどの費用を負担しているのか、書き出すといいでしょう。夫婦そろって参加してもらうセミナーなどでは、夫と妻両方に、自分が出している費用を書いてもらう作業をしますが、お互いの言い分が食い違うことも多いです。
―― へー、そうなんですね!
氏家 一般的には夫が、住宅費や水道・光熱費、学費などの、記録に残る分かりやすい支出を負担しているケースが多いですね。一方、妻は日々消えていく食費や、子どもの給食費など学校から徴収されるもの、習い事の月謝などを負担している場合が多い傾向があります。書き出してみると実は結構妻の負担が多かったことが分かる場合もあります。書き出すのはおすすめです。
どこまでをオープンにすべきか
―― 共働きの場合、夫婦でどこまでオープンにすべきか、という問題もありますよね。
氏家 そうなんですよね。全部オープンにして家計を一つにしたほうが効率的ですが、そこまでお互い干渉されたくないという人もいるでしょう。
とはいえ、納得のいく話し合いと分担ができていないと、「また新しいバッグを買ったの?」「また新しいゲームソフトを買ったの?」などとお互いイライラしてしまうかもしれません。 必要な貯蓄額を計算して、先取り貯蓄の仕組みを作り、「あなたは教育費のために月〇万円ためる」「私は繰り上げ返済のために月〇円ためる」などと決める。その上で毎月の固定費と変動費の負担も納得いくように配分できていれば、「残りはお互いに干渉せず自由におこづかいとして使う」というのもありだと思います。
面倒な作業に思えるかもしれませんが、自分の負担が分かるのだから、お互い積極的に作業できるのではないでしょうか。もし負担の割合がフェアじゃないと思うなら、調整したらいいと思います。実は、「フェアかどうか」という点は、幸福度に大きく関係します。
―― 「家事育児の負担がフェアかどうか」が幸福度に関係するのと同じですね?
氏家 そうなんですよ。実際、こういう話し合いと整理ができていれば、「共働きを維持するために、家事のアウトソーシングにこれだけ使おう」「いや、アウトソーシングは使わないけどこの家事はシェアしよう」などの具体的な話もがぜんしやすくなるんです。
(取材・文/日経DUAL編集部 小林浩子 イメージカット/鈴木愛子)
ハートマネー代表。家計研究家。
