自分が誰かを好きになれるなんて思っていなかった

 そもそも僕は、結婚願望はなかったんですよ。

 両親は離婚してたし、自分の周りに幸せそうな夫婦がいなかったのもあります。現実と夢をはっきりと区別していました。だからこそ、夢のような魔法をかけてくれるディズニーの世界観が大好きで。

 自分のことも大好きで、自分にばかり関心が向いていました。通っていた高校には、休み時間にずっと一緒にいたり、毎日LINEでメッセージを交わしたりするカップルがいました。僕にはそんな時間の使い方はできなかったです(笑)。

 沖縄から上京した理由も、洋服やオシャレが好きで、古着屋さんになることを目指したから。それが読者モデルになってテレビに出るようになり今に至るわけではありますが、自分の夢のことで精いっぱい。ぺこりんと出会っていなかったら、人を好きになることも知らないまま。今も他人と一緒に生活したい感情を分かっていなかったでしょう。

 ぺこりんに出会えて、本当にラッキーでした。

 ぺこりんと付き合ったことも、同棲したタイミングも、すべてが奇跡的でした。

 テレビで注目していただいて、僕たちを取り巻いていた環境が一変したんですよね。それをぺこりんと一緒に乗り越えられたことは、相手に対する大きな信頼になりました。

 同棲し始めてすぐの、ショップ店員と読者モデルをしていたときは時間が有り余っていたんです。当時は「もっとたくさんお仕事したーい!」と望んでいましたが、急に依頼が増えて、いろんな仕事に直面しました。ファッション関係だけでなく、バラエティー番組への出演、テレビや雑誌のインタビューと、自分を「晒して」「出す」ばかりになって。

 求められていることをするのが仕事だし、僕自身もその期待に応えたい。全力でがんばるんですよ。

 一方でふとしたときに、「ジブンって誰なんだろう?」と心に穴が開いたような感覚に襲われました。求められることと、自分自身のギャップを感じていたところもあったというか、急激な環境の変化に心が追い付いていなかったんだと今は分かります。

 そんな日々の中でも、怒涛の仕事を終えて家に帰ればぺこりんがいた。テレビに出る前の、自分たちや環境を毎日ちゃんと思い出せたんですよね。