現状は「部分最適が全体最適を損なっている」
ところで、そんな非認知スキルを高める取り組みをしている豊岡市でも、現実問題としては人口減少は起きています。これは都会での就職しやすさが影響しており、「部分最適が全体最適を損なっている」例と言えます。
多くの方が、うっすらとながら、都市部で暮らすより地方に移住したほうが豊かな暮らしができることが分かっている。それでもやはり、大学は東京や大阪などの都市部で通い、その就職先として「とりあえず大企業」を選んでしまいます。だから豊岡市出身の若者も、都市部に進学したまま、戻ってきません。
大阪大学でも、文系の大学院の進学率が下がっているのですが、これは、今は大学4年生で大企業に就職が簡単に決まるからです。優秀な学生たちには大学院に進んでほしいという希望はありますが、現状の経済が「張り子の虎」と分かっているため言えません。本当に経済が右肩上がりであれば2年後に就職すれば……と言えますが、東京五輪後の経済に不安を抱く人も多い中ですから。
ただ、40歳になって失業したり、企業内失業も起きたりしているのは皆さんもご存知の通りです。
そんな今だからこそ、コミュニケーション教育を見直し、非認知スキルを高めて、転職や社内転職ができる力を育てていく必要があるわけですが……。