共働き家庭はどうしても子どもと離れる時間が長くなります。そのとき、もし大災害が起こってしまったら…。
考えたくはない未来ですが、想定し、準備しておくことはとても重要なことです。多くの被災されたお母さんたちの経験を踏まえ、「災害に強い地域社会を作る」というテーマで防災の啓発活動をしているNPO法人ママプラグの冨川万美さんに「共働き家庭の防災対策」について教えてもらいます。今回のテーマは「思春期の子どもの防災」についてです。
以前より早く始まり、遅く終わる今どきの「思春期」
私たち「ママプラグ」は、ほぼ全員が子育て中の母親で構成されています。
最初に作った防災に関する書籍『被災ママ812人が作った 子連れ防災手帖』(KADOKAWA)が出たのは、東日本大震災の翌年の2012年。私たちと同じ年代のママ、パパを中心に取材した体験談をまとめたものでした。
震災当時、私の娘は3歳になる直前で、オムツトレーニングの真っ最中。東京都内でも物資が不足し、世の中から紙オムツがなくなったのではないかと不安になるほどでした。
東日本大震災から今年で8年が経とうとしています。現在は弟も生まれ、震災当時とは全く違う生活を送っています。
あんなに幼かった娘も今年で11歳になります。自分が娘と同じ歳のころとは、比べものにならないくらい体も大きく、精神的にもずっと大人であるような気がします。何よりも、情報力(収集力・発信力)がすごい。
同じように、ずっと活動を共にしてきたメンバーの子どもたちも見るたびに心も体も成長し、すっかり“お姉さん”の風格を漂わせています。アイデンティティーを確立するために大切なこの時期を、親としても大切にしてあげたい。だからこそ、今回のテーマはこの年代に焦点を当てて考えてみようと思います。
昨年行われたオーストラリア・メルボルンの王立小児病院の研究によると、栄養状態や健康の改善から、現代の思春期は10歳ごろから始まるとされ、従来よりも早まっています。逆に思春期の終わりは、晩婚化や出産・子育ての開始が遅くなっていることなどにより、24歳ごろと引き延ばされる傾向にあるようです。
つまり、小学校4年生あたりから大学卒業くらいまでは、“難しいお年ごろ”と言えるのです。
