正能 そうですね、私にはこれがあると思えるようになりました。私はなんにもできないけど、地方のものをかわいくして世の中をハッピーにできたらいいな、と。世の中に借りはありながらも、自分ってこういうことができるんだなと、人生の主導権が自分に戻ってきた気がして、気持ちが楽になりました。
羽生 20代前半で人生の主導権を握った! 早熟ですね(会場笑)。今は大学でも教えているのですよね。
正能 はい! 大学の特任助教もしています。
鈴木 仕事に限らず、趣味を極めるなどもありだと思いますが、2枚目、3枚目の名刺を持ちたい女性が増えている印象はあります。いかがでしょう。
正能 私は、人生の幸せって、好きなことを好きなバランスで好きなだけやることだと思うんです。この理想とする生き方を、ホテルのビュッフェになぞらえて、「ビュッフェキャリア」と私は表現しています。カレーだけ食べたければ、カレーだけ食べる人生もすてき。だから一つのお仕事に集中するのもかっこいい。でも、次に「パスタも食べたい」とか「デザートも食べたい」と思ったときに、これまでカレーだけを食べてきたからという理由だけで諦めるのは寂しいですよね。
羽生 そして今、27歳。現在は40点に下がっていますが……。
正能 自分では「アラサーうつ」と呼んでます(笑)。具体的な不安ではなく、この先、働くことも含めた自分の人生がどうなっていくかが、イマイチ描けなくて、漠然と不安な気持ちになることがあるんです。私の親は専業主婦だったので、働きながら母親になるってどんな感じなんだろうと思ったり、逆に、すごく働いていて家族がうまくいっていない、という人も見ます。だから、人生の具体像のイメージがつかめない。そんな中で今できることは、いずれ結婚したり、出産したり、親の介護をしたりして、また社会に戻りたいと思ったときに、自分の名前でいかに価値あるお仕事をいただけるのか、自分の価値を上げておくことなのかな、と思っています。
DUAL世代のモヤモヤとは?
羽生 では、続きまして、DUAL世代ど真ん中の田中美和さんです。
田中美和さん(以下、田中) 多様な生き方・働き方を実現する人材エージェント会社Warisの共同代表をしております。フリーランス女性と企業とのマッチングやいったん離職した女性の再就職支援などに取り組んでいます。

羽生 田中さんの人生折れ線グラフは乱高下が激しいようです! 30代後半の時期に注目してみたいと思います。40点と低かったこの時期には何があったのでしょうか?
田中 今、40歳ですが、39歳で結婚と出産を経験しました。その直前あたりが、かなりのモヤモヤ期でした。
正能 私は「アラサーうつ」ですが……。
田中 私は「アラフォーうつ」でしたね(笑)。私は多様な生き方を応援していて、そういう内容のビジネスをしているのですが、やはり自分のこととなると、「結婚しなきゃ」「産まなきゃ」とか結構とらわれがあって……。やはり女性には多かれ少なかれそういう呪縛みたいなものがあるかと思います。そこで苦しんでいたのですが、1年ぐらいの間で、一気に結婚と出産がドタバタときました。