ペアレンタルコントロールは必須だが、認知度は低い
──子どもが安全にインターネット利用をするために、親はどうすればいいのでしょうか?
高橋 まずは子どもの安全のために保護者がネット利用環境を整える「ペアレンタルコントロール」や、犯罪に関するサイトなど不適切なサイトやアプリを利用できないようにブロックする「フィルタリング」を利用することです。
2018年より、「フィリタリングサービス」を携帯電話やスマートフォンに設定することが義務化されました。「Nintendo Switch」にも保護者による利用制限ができる「みまもり設定」の機能があります。また、iOS端末やAndroid端末などは無料で「ペアレンタルコントロール」ができます。これらを駆使すれば、長時間利用や危険なアプリのダウンロード、危険なサイトへのアクセス、ゲーム内の課金など、多くのトラブルを防ぐことができます。
しかし、保護者の認知度は低いのが現状です。前述の東京都の調査によると、スマートフォンのフィルタリング設定率は、小中学生は約5割、高校生は4割以下。設定していなくても管理できていればいいのですが、設定しているかどうか「わからない」と回答した保護者は15%近くいました。
さらに、同じ調査で「Twitter」「Facebook」「Instagram」「TikTok」は利用規約上、13歳未満の利用に制限があるものの、約4割の保護者は年齢制限があることを「知らなかった」と回答しています。
最近人気のオンラインゲーム「フォートナイト」も、「Nintendo Switch」や「PlayStation4」でダウンロードする際、15歳に達していないと制限がかかるようになっています。なぜなら、ゲーム内容に暴力行為が含まれているからであり、知らない人との出会いにつながるリスクもあります。けれど、保護者が許可したり制限を解除したりすれば、小学生でも遊べてしまいます。GPS機能を使って近くにいる人とフレンドになる機能や、知らない人同士でチームになる機能があり、ボイスチャットもできます。子どもはしゃべっていると相手をいい人だ、だから友達だと思い込みしやすいです。会話をしながら、個人情報を引き出されやすいので注意が必要です。
SNSやオンラインゲームに年齢制限があるということは、見知らぬ人とコミュニケーションができるなど、自分で判断ができない子どもにとってリスクがあるということです。そのようなアプリを子どもに利用させるのであれば、親が見守った状態で使わせどんな人とやりとりをしているのか把握する、やり取りができる相手を友だち限定にするなどの設定をする、知らない人に会いに行かない、写真を送らない、など子どもと使うときのルールを決める、といったことが必要だと思います。
怖い「エルサゲート」、YouTubeの見せっぱなしは要注意!
高橋 広告の中には、ターゲティング精度が高くないものも多く、成人向け広告が全年代に表示されるということも起きています。コロナ禍で広告が減ってしまった時は、個人の広告や質の悪い広告が通るようになってしまい、子どもが見ている「YouTube」でも性的な内容を含む大人向けの広告が増えたこともありました。
「YouTube」でも、「アナと雪の女王」のエルサと、事件や不祥事を意味する「~gate(ゲート)」を組み合わせてできた「エルサゲート」という子どもの心をクラッシュさせるのを狙った悪質な動画がたまに混じっていることがあります。エルサやアンパンマンなど子どもに人気のキャラクターを使っているのでサムネイルは一見普通の子ども向け動画なのに、暴力的、性的な内容の動画であることから、問題になっています。Google側でも削除をしているのですが、子ども向けに作られたアプリ「YouTubeKids」でも表示されたこともあり、100%ではありません。
「YouTube」を子どもに見せる場合は、見せっぱなしにするのではなく、テレビに映して視聴させて内容を親も確認できるようにする、検索履歴や視聴履歴を確認する、おかしな動画があったらすぐに相談させるようにするということが大切です。