夫婦で寄り添い合って、遠回りはしないでほしい

―― 最後に、今現在、不妊治療をしている方やなかなか授からなくて悩んでいる方にメッセージをお願いします。

魔裟斗 子どもができなくて悩んでいるんだったら、なるべく早い段階で病院に行ってほしいですね。不妊治療は時間との戦いなので、無駄な時間は過ごさないでほしい。男性にとって不妊治療のクリニックは行きにくいと感じるかもしれませんが、行ってみたらみんな同じ境遇の人ばかり。恥ずかしくもなんともないですよ。それは僕が保証します。

 子どもができたら、本当にこんなにうれしいこと、楽しいことはないので、勇気を持って行ってみてください、と言いたいです。

矢沢 結婚前のブライダルチェックでもいいですし、まずは自分の体を知ってほしい。そのうえで、妊娠しにくい体なのであれば、パートナーと一緒に病院に行ってもらいたいと思います。夫婦で寄り添い合って、たまには苦しい思いを吐き出したりしながら、一緒に歩んでほしい。それから、これは夫と同じですが、やっぱり遠回りはしてほしくないと思います。本当に子どもがほしいなら、悩んでいる暇はありません。少しでも早く病院に行ったり、転院したり、ステップアップしたりといった決断をしないと、悩んでいる間に時間はどんどん過ぎていってしまうから。

―― 決断は一日でも早いほうがいいということですね。

矢沢 そうですね。自分たちの体について知ったうえで、もちろん夫婦2人で暮らしていくという選択をしてもいいんです。お金や精神面に余計な負担をかけずに済むので、その決断は早ければ早いほどいいと思います。

 最後に、不妊治療はいつ終わるか分からない戦いです。すぐ子どもができるかもしれないけれど、いつまでもできないかもしれない。私たちは4年かかりました。ですので、矛盾した言い方ですが、“頑張り過ぎずに頑張ってほしい”。そう思います。

―― ありがとうございました。

(構成/荒木晶子 撮影/鈴木愛子 企画/後藤美葉)

魔裟斗
格闘家、俳優、タレント、スポーツキャスター。
1979年生まれ。日本人初のK-1世界王者として知られ、2009年引退後は多方面で活躍中。
K-1 WORLD MAX 2003 2008 世界王者。
生涯戦績は63戦55勝(25KO)6敗2分。
矢沢心
女優・タレント
1981年東京生まれ。1997年デビュー。
夫である魔裟斗さんは、日本人初のK-1世界王者として知られる。
著書に『ベビ待ちゴコロの支え方』(主婦の友社)など。
日々の暮らしをつづったオフィシャルブログも人気。
「コロコロこころ」https://ameblo.jp/yazawa-shin/