起業するまでの経緯や仕事と家庭の両立についてなど、多くの壁を乗り越えてきたママ社長や起業家にインタビューする「私が壁を乗り越えたとき」。第14回は、ワーキングマザーのキャリア支援を行う「育キャリカレッジ」を2017 年に立ちあげたMANABICIA代表の池原真佐子さんを紹介します。
池原さんは、PR会社や国際理解教育のNPOで活躍後、コンサルティング会社へ転職し、人材開発担当として国内外の研修企画に携わりました。在職中にシンガポールのINSEADに国際通学しコーチングを学び、2014年MANABICIAを起業しました。臨月で夫が海外転勤になり、現在は、東京でワンオペ育児と仕事を両立しています。
いじめを受け、自分に自信が持てなかった学生時代
福岡県に生まれた池原さん。小学生のときにいじめにあい、自分に自信が持てない学生時代を過ごしたといいます。
「地元から離れた私立の小中高一貫の学校に通っていました。小学生のときに、見た目が外国人みたい、色黒、という理由でいじめを受けたんです。そのときに、人と違うのは何がダメなんだろう、どうしてみんなと同じじゃなきゃいけないんだろう、と悩みました。それから、自分なんて価値がない、いるといじめられるんじゃないか、と自己肯定感が低い状態で学生時代を過ごしました。それは起業するまでずっと続いていたと思います」
学校に自分の居場所がなかった一方、地域の存在に救われました。
「地元でボランティア活動や子ども会、バレーボールなどに参加していました。学校は似たような価値観の子たちが集まるけれど、地域には色々な子どもがいるし、大人も関わります。1つの場所がダメでも自分を受け入れてくれる第2の場所があったことに救われました。そのときに、自分の居場所は自分で作ればいい、と気付きました。色々な背景を持った人と関わった経験が、いまの自分に影響を与えていると思います」

MANABICIA代表・育キャリカレッジ代表
初めての海外旅行で衝撃を受け、多文化教育を研究
高校卒業後は、東京の大学に進学。成人教育を専攻しました。
「両親が教員だったこともあり、教育や人を育てることに興味があったんです。でも、学校が好きではなかったので、学校教育ではない分野を探していました。そして母から、学校を出た後に学びたい人を対象にした成人教育について教えてもらい、受験しました。いわゆる生涯学習のことで、当時はまだマイナーな分野でした」
大学1年生のときに、海外への憧れから、バックパック1つで1カ月、ヨーロッパ1周を敢行。初めての海外旅行で衝撃を受けたといいます。
「ヨーロッパでは、肌や目の色の違う人が普通に歩いていて、一緒に住んでいます。小学生のときになんであんなに私はいじめられたんだろう、日本とは違う、と衝撃を受けました。それから、国や言葉、文化が違う人たちが、どうやったら人との違いを受け入れて共存できるのか、興味を持ちました」