食べ物を捨てない100のアイデアを募集
2016年には、オーガニックや無添加でも甘くておいしく、見た目も楽しいスイーツショップを神宮前にオープン。累計85万本を突破した「有機エキストラバージンココナッツオイル」以外にも、砂糖の代用になる「有機アップルソース」やスパイス、サプリメント、コスメなど様々な商品を展開しています。
「子どもたちの未来にこれから努力して残していかないといけないものは、心の豊かさだと思います。食べることによって感じる土や自然とのつながり、命のつながり。それを私はオーガニックだと思っています。有機認証がどうのということではなく、有機的なつながり、好循環の中で私たちの体が育まれているし、心も育まれている。この先合理化が進んでいく中で、その価値観を残すことが、私が仕事をする理由。便利、楽しい、おいしい、健康、それが安いということが、皆さんが求めることなんです。でもそれを追求した先に、きちんと心の豊かさもひも付けていくことが、母として食の会社を創業した私の使命だと思っています」
今年の7月から、新たにフードロス削減の取り組みも始めました。
「日本で廃棄される食品は年間約2775万トンで一人当たりの量は世界ワーストワン。食というものをみんなでもう1回考える良いきっかけになると思い、『食べ物を捨てない日本計画』と名付け、食品流通に乗らない賞味期限1カ月未満の食品を捨てない取り組みを始めました。今年の10月末まで『#食べ物を棄てない100のアイデア』を募集しています」
「みんなで楽しくおいしく元気に解決するアイデアを出すことを通して、みんなで今のままの私たちの食に対する選択でいいの? 食生活、食文化でいいの? より簡便化していくだけでいいの? 安いだけでいいの? おなかを壊さないということが最大の価値で本当にいいの? ということを真面目に、というよりも楽しく考えるムーブメントにしたいと思っています」
月15万円あれば娘と暮らしていける
常に挑戦を続けている荻野さん。その強さはどこにあるのでしょうか?
「自分が心豊かに生きていくための生活には、これがあればいいという水準が自分の中で明確なんです。もし何かあったとしても、月15万円あれば東京都内で娘と一緒に暮らしていける自信があります。自分自身で底を知っているから、無一文になったところで、それだけ稼げれば生きていけるし、それだけ稼ぐ方法も知っている」
「生活の質の落としどころが分かっているから、本当に最後の最後で厳しい局面になったとしても、その先はなるようになれと思える。だから、挑戦し続けることができると思っています」

7:00 荻野さん起床、朝食準備後、朝食。味噌汁とごはんと漬物という質素なもの
9:00 娘を保育園へ
9:30 カフェで集中して、優先順位が高い仕事とメールチェック
10:30 出社。1カ月に2~3回、社員と共に自社製品を使ったビーガンランチを楽しむ
18:30 退社して保育園へお迎え後、帰宅。夕食準備をして夕食後、入浴
21:00 寝かしつけと同時に就寝
(取材・文/平野友紀子)