「これまでリウマチは高齢者の病気であるとか、治らないので痛みを抑えるために温泉につかるといったイメージが強かったかと思います。でも、リウマチの好発年齢(ある特定の病気にかかりやすい年齢)・性別は30~50歳代の女性です。特に体の変化が大きい産後は気を付けてもらいたいんです」

 好発年齢以外でも、10代でも20代でも、あるいは60~90歳でも発症する可能性があると湯川さん。

 「日本での患者数は現在70万~80万人です。なおかつ女性のほうが男性より4倍多いものの、男性もかかる病気なんです」

 では関節リウマチとはどのような病気なのでしょうか。

関節リウマチが女性に多い理由は?

 関節リウマチは、自己免疫疾患です。通常、免疫は細菌など異物が体内に入ってきた際に、その異物が体内で増えないように防御をする役割があります。その免疫が誤って働き、自分で自分の関節などを攻撃するのが自己免疫疾患です。

 関節リウマチの場合、免疫の異常により関節を包む滑膜に炎症が起こり、それが増殖すると軟骨や骨が破壊されて関節の機能が損なわれます。放っておくと、やがて関節が変形してしまいます。

 では女性に多いのには何か理由はあるのでしょうか。

 「女性ホルモンが直接病気を引き起こす原因にはなりませんが、出産後の女性は自己免疫疾患を発症する確率が上がります。女性は初潮がきて月経が始まり、妊娠可能な期間を経て、閉経する中で、女性ホルモンのバランスが変化していきますよね。出産を経れば、なおのこと。この女性ホルモンが、自己免疫疾患に関わっていると考えられています」

 また遺伝的な要因も指摘されていますが、「環境的な要因としては喫煙歴もありますね」と湯川さん。現在喫煙している人は、男性で2~3倍、女性で1.2~1.3倍の発症率となるといいます。