「妻出産休暇」の取得率と利用者の声
「育休は法的にも整備されていて、本来は男女限らず取得ができるにもかかわらず、社会全体として男性の取得はあまり進んでいませんでした。業務調整の難しさやキャリアへの不安、給与減額の不安などが大きな壁となっているためです。そこで、当社の制度においては、取得しやすくするため有給とし、『連続取得』を義務付けず、『1日単位』で取得可とすることにしました」。経営企画部人事グループの山科このみさんはこのように説明する。
実際に制度を利用した男性社員からは、「1カ月健診や予防接種など、家庭の都合に合わせて単発で休めるため、妻から感謝された」「1日単位で取得できるため、業務の調整がしやすかった」と好評だという。2018年度の「妻出産休暇」の取得率は83%、1人当たりの平均取得日数は10日と広く利用されている。
復職するママ社員向けに2種類のガイダンスを導入
子育て中の女性社員のキャリア支援としては、育休から復職する女性社員とその上司を対象に、2012年にガイダンスを導入した。今も続くそのガイダンスは通常、5~6月に実施。2本のワークからなる。1つは出産前と復職後の24時間の使い方を書き出す、というものだ。
「改めて復職後の24時間のタイムスケジュールを書き出し、出産前と比較してみると、復職後は、勤務中はもちろん、帰宅後も子どものお風呂や寝かしつけなど、子どものために頑張る時間が増えることで、1日の中で自分の好きなように使える時間が大きく減ることが明確になります。その現実を認識した上で、自分がどのように仕事に時間を使っていくのかを考えてもらうのが目的です。また、子どもの発熱など突発的な事項が起こり得ることも想定してもらい、常に前もって段取りを組むなど、個々に『仕事の進め方改革』を促します」
このワークは、復職者本人だけが参加するのではなく、直属の上司に同席してもらうことも多い。「復職したばかりのメンバーの状況を把握してもらった上で、チームの体制づくりをしてもらうという狙いです」