公立中高一貫校受検では、小学校の成績や活動の記録を反映させた「報告書」や、「適性検査」と呼ばれる筆記テストで選抜が行われます。特に「報告書」はその中身がベールに包まれているため、不安に感じる親もいるでしょう。果たして対策はあるのでしょうか? 元大手進学塾の公立中高一貫校クラスのカリスマ講師で、現在は公立中高一貫校合格アドバイザーとして多くの小学生を指導するケイティさんに、詳しく教えてもらいました。
通知表と報告書は別物だが大きなズレはない
公立中高一貫校受検に必要な「報告書」。そもそも「報告書」とはどのようなものなのでしょうか?
ケイティさんはこう説明します。
「公立中高一貫校(主に都立中高一貫校)では、適性検査の点数と報告書の点数を足して『総合成績』という形で合否が決まります。報告書には『A、B、C』という3段階の『観点別学習状況』があり、それをもとに『3、2、1』という評定でスコアが決まります。例えば東京都の場合は、全ての科目が『知識・技能』『思考・判断・表現』『主体的に学習に取り組む態度』という3つのポイントで評価されます。各観点の評価がで仮にBが二つ入ると、評定で3を取るのは難しくなります。各観点の評価は学習指導要領の目標に照らし合わせて先生がつけていきますが、『主体的』とは何を基準に判断するか不透明なところがあり、先生の主観も多少入ってきます」
「同じように学校には通知表があります。2020年度から通知表のつけ方が大きく変わったことは皆さんご存じかと思います。今の通知表は『知識・技能』『思考・判断・表現』『主体的に学習に取り組む態度』の3つの観点から評価します。『知識・技能』はカラーテストでいうと基本問題にあたります。『思考・判断・表現』はカラーテストの応用問題に該当し、それに加えて発表の様子や作文の内容などが加味されます。ですから、この2つは努力次第で評価を上げていくことができます。
厄介なのは、3つめ目『主体的に学習に取り組む態度』という観点です。こちらは先生によって何を持って主体的とするか、その『ものさし』が異なるため、何をどう頑張っていいのか分からないところがあります」
「報告書と通知表は観点別で評価されるという点は同じですが、別物と思ってください。今の通知表は一応『絶対評価』のしくみになっていて、例えばAさんとBさんが同じ出来栄えでも、『Aさんは能力が高いから、本気を出せてばもっと頑張れるはず。これは手を抜いている』と先生が思えば、Bさんより下の評価がつくことがあります。


通知表は『生徒のモチベーションアップにつなげる』という趣旨で作られるもので、報告書とはそもそも意図が異なるのです。ですから、通知表の善しあしがそのまま報告書に直結するわけではありません。とはいえ、通知表の評価が低ければ、報告書も厳しくなります。通知表で1の科目が、報告書で3になるということはまずあり得ません。通知表と報告書は必ずしも一致はしないけれど、大きなズレはないと思っておいていいでしょう」
では、その報告書はいつの時点からの評価で、そうした評価を上げるためには学校生活ではどういう点が大事になるのでしょうか。