一般的に中学受験は、小3の2月から大手進学塾に通い、そこから3年かけて受験のための勉強をしていきます。ところが、最近は大手進学塾に通わずに家庭教師や個別指導塾で受験勉強を進めていく家庭や、大手進学塾に通いながらプラスαで家庭教師をつけたり、個別指導塾に通ったりする子が増えているといいます。では、どのような事情があるときに、どのようにして活用することが多いのでしょうか? 本連載でおなじみの中学受験専門のプロ家庭教師・西村則康先生に聞いてみました。
スポーツや楽器を続けたい 目的が明確な受験は志望校対策だけでOK

「中学受験を考えているのなら、本来は大手進学塾に通うほうがいいでしょう。なぜなら、大手進学塾には中学受験に必要なカリキュラムと豊富な情報がそろっているからです。また、集団授業で学習することで、周りの子どもたちと切磋琢磨できるからです」
そう話すのは、中学受験専門のプロ家庭教師・西村則康先生です。しかし、最近は中学受験をする家庭の価値観も多様化し、「中学受験=大手進学塾」という王道コースを選択しない家庭も出てきているというのです。
「例えば今は、子どもが小さいころからスポーツや楽器などの習い事に力を入れている家庭が増えています。そういう家庭は、中学に入ってからもその習い事をこの先ずっと続けさせたい。そのためには、高校受験で一時ストップするよりも、中学受験をさせて、中高の6年間に思いっきりやらせてあげたいと考えます」
「しかし、大手進学塾は年間のカリキュラムが固定されているため、スポーツや楽器などの習い事を優先している子は、両立が難しい場合もあるというのが現実です。そこで、初めから大手進学塾に通わずに、家庭教師や個別指導塾で受験勉強を進めていく家庭が増えているのです」
「とはいえ、例えば週4日テニススクールに通いながら、御三家の中学校を目指すというのは、正直なところ厳しいでしょう。でも、そこまでのレベルを望まなければ、家庭教師だけでも十分に狙えます」
「家庭教師の良いところは、その子にとっての学習カリキュラムが組めることです。大手進学塾のように基礎から応用まですべてを勉強する必要はありません。志望校が明確であれば、その学校に合格するための勉強に特化できるので、時間を有効に使うことができます」
その場合、どのタイミングで始めるとよいのでしょうか?
「目指す学校にもよりますが、例えば緩やかなペースで取り組みたいのであれば、小3~6の4年間で進めていくという方法もあります。逆に短期集中型で取り組みたいなら、小5~6の2年間でカリキュラムを組むことも可能です。稀に利発な子であれば、6年生の1年間で対策がうまく進められることもあります」