11月に入り、受験生の6年生は、いよいよラストスパートの時期になりました。しかし、第一志望校は決まっているものの、併願校がなかなか決められないという家庭は多いのではないでしょうか? 「併願校を決めるベストな時期は11月初旬頃です」。そう話すのは、本連載でお馴染みの西村則康先生。では、なぜこの時期がベストなのでしょうか? また、併願校を選ぶときに何か注意すべきことはあるのでしょうか? 詳しく聞いてみました。
受験校選びは、過去問対策がスタートする前の11月初旬が目安

6年生の9月から12月まで、各塾では月に1回、志望校に合格する可能性がどのくらいあるかを計る合否判定模試が実施されます。模試の結果は、合格可能性(20~80%)で評価され、その結果を見ながら第一志望校を受験するかどうか、併願校をどこにするかなどを決めていきます。
西村先生は言います。
「併願校は11月初旬を目処に決めておくといいでしょう。なぜなら、過去問を取り組む時期を考えると、あまり遅くならないほうがいいからです。過去問は、問題傾向に際立った特徴のない学校でも、11月中旬から解き始めるのが理想です。それ以前では、まだ演習が足りず、満足のいく結果が出ませんし、それ以降では、各学校の問題傾向をつかむ時間が不足してしまうからです」
「過去問を解いてみると分かると思いますが、同じ偏差値の学校でも問題傾向や難易度は大きく異なります。例えば、(都内の私立男子中高一貫高)城北中と成城中は四谷偏差値では56~57と偏差値は同じくらいですが、城北中の算数は問題の難易レベルの差が大きいので、子どもには解きにくい。そのため、成城中のほうが併願校として確実に合格が取れる学校だと判断する家庭もあります」
「また、同じ問題傾向でも、子どもによって好きな問題と嫌いな問題というものがあります。例えば、算数の設問で『~を答えなさい』という語尾で書かれている問題は抵抗がないのに、『~せよ』と書かれていると嫌だ、と言うように言い回し一つとっても細かな好みがあります。国語は扱われるテーマによって、好き嫌いに分かれることもあります。また、問題用紙や解答用紙の見やすさや書き方なども学校によって大きく異なり、子どもに合う・合わないがあるのです」
「大人の感覚からするとそんなことをいちいち気にしたってしょうがない、と思うかもしれませんが、小学生の子どもは意外とこういう些細なことが大きく影響します。ですから、併願候補校が決まったら、まずは一度、過去問を解かせることが大事なのです」
では、過去問はどのくらいやるべきものなのでしょうか?
「第一志望校なら5~10年分は遡ってやっておくといいでしょう。御三家のように問題傾向が長年変っていない学校は、10年分をしっかり解いておくといいですね。第二志望校は少なくても5年分、第三志望校は4年分、第四、第五志望校は2年分くらいの過去問を解いておくといいでしょう。偏差値で見たらかなり下の第四、第五志望校であっても、受験する可能性のある学校の過去問は、必ず一度は解き、問題傾向を把握しておきましょう」