やりがいのある仕事を任された責任感から、無理をして働くように

そう気付けたことで、まず、変わったのは仕事に対する“自分のニーズ”です。やりがいを持って働ける環境を求めるようになり、上司が代わったタイミングで、勇気を出して「できるかどうか分からないけれど、産休前の編集業務をやりたい」と相談しました。上司は私の意欲を尊重してくれて、まずはやってみようと言ってくれました。
ただ、やりがいを持って働くとなると、アシスタント的な仕事をやっていたときとは責任の重さが違います。自分から言ったのだから、というプレッシャーもありました。
ネックとなったのは、とにかく仕事の時間が足りなかったことです。時短勤務だったので実質的な業務時間は、9時から16時までの7時間。出産前の半分ほどの時間で、以前と同じ業務をこなせなければならないと焦りました。
子どもを寝かし付けてから、夜中まで仕事をする日もありました。一人で背負い込んでしまったんです。そうしないと評価されないと思い込んでいたのです。
家に帰ってからも、子どもを早く寝かし付けようとすることばかり考えるようになり、そうすると、子どもって余計に寝付かないんですよね。持ち帰った仕事がたまっていくことに、焦りばかりが募りました。
結果として、手がけていた仕事は会社からは評価されたものの、「本当に私はこうした働き方で、成果を出して評価されたかったのか?」という疑問が残りました。なんとなく、本末転倒だなと思ったんです。
ロールモデルとなるママの存在から、仕事に対する姿勢を学んだ
そんな私を支えてくれたのは、働くママの存在です。当時はまだ子育てと仕事を両立しているママが少なかったこともあり、別の部署のママが、ママ同士の情報交換の場を社内に設けてくれていました。そこで出会ったママたちとの会話が新鮮で。みんな、私とは違って仕事が大好きだったんです。育児と仕事をしていく上でも、できない理由を探すのではなく、いかにして両立させていくかということを考えていました。
働いているママたちが、それぞれのやり方で育児と仕事を両立している現実を知り、私は、自分ができない理由ばかりを探していたことに気付きました。「もしかしたら私は、育児を言い訳にしていただけではないのか?」と、思うようになったんですね。
ロールモデルを得た私は、これであれば自分でも取り入れられるという「両立の知恵」をいいとこ取りしていきました。やれる仕事の範囲を決めるようになったのもその一つです。一つの企画にチームで連携して取り組もうという流れも出てきたタイミングとも重なり、自分がうまく回せないところは他のメンバーや外部パートナーさんに入ってもらい、フォローしてもらえる体制を整えていきました。
リモートワークが可能になったのも追い風でした。まずはママから始めようということになり、週一で取り入れました。私は自宅が千葉だったので、往復3時間の通勤時間を仕事に充てられるようになったのは大きかった。リモートワークの日は、9時から18時までのフルタイム勤務が可能になりました。
精神的にも楽になりましたね。それまでは、急な子どもの呼び出しがあると、誰かに業務を引き継いでもらわなければなりませんでした。そうなると代わってくれる人に中途半端に仕事を残していくわけにはいきませんから、引き継げる状態になるまでは会社に残って完成させていたんです。熱を出している子どもを待たせて仕事をするのは心苦しかった。リモートワークによってそうした引き継ぎもなくなり、いつでも子どもたちのもとに駆け付けられるようになったことで、心に余裕が生まれました。