おにぎりを食べ、川遊び。集中力は日々増していく
朝5時半から12時まで子どもたちは6時間集中して学習する。昼食後は15時まで自由遊びの時間となる。何をしてもいいのだが、もれなく毎日川に行く。
引率するのは大学生のOくんだが、3日目は大雨が降った明くる日だった。暑いので川遊びをしたい気持ちはよくわかったが、増水が心配になったので私もついて行くことにした。
青梅街道脇の小道斜面を下りればすぐ河原が広がる。一番奥の崖下には増水してやや濁った急流が流れており、足をつけて見ると結構冷たい。
上流の急流が始まるところから泳ぎ始める。すごいスピードである。オリンピックの選手でもこれほど速くは泳げまい。あっという間に大岩の前をカーブしてその下の浅瀬に立つが、流れが急でこちら側に戻って来れない。下流に流されるとやや危険である。
すると何と生徒たちは手をつないで渡ってくるのである。むかしアマゾン先住民の渡河写真を見た時に、彼らが手をつないでいたのが思い出された。手をつなぐと、力が分散するのか、やや急流でもなんとか河を渡ることができるのである。
急流を泳ぐ顔があまりにも気持ち良さそうなので、私もやってみようと思うが、冷たくてどうしても入る気がしない。泳ぎの得意な子はクロールで泳ぐ。その気持ち良さそうなこと、子ども心が爆発している感じである。
「先生、冷たいのは最初だけ、一度入ってしまえば平気だよ」と誘ってくるが、われながら情けないことだが遠慮しておいた。
やがて彼らは焚き火をしようとするが、雨後で乾いた枯れ葉がなく、火をつけるのに一苦労である。前夜から参加した高校生のリューイチが驚くほどの肺活量を示して火を燃え上がらせる。火がつくと、今度は大岩の上から奇声を上げてダイビング。完全に室内滞在ストレスを吹っ飛ばす。
川から帰ってくるとまたおにぎり。そして学習だ。これを繰り返すことで、だんだん良く集中できるようになって来ていると実感する。
子どもたちの学習の様子については、次回詳しくお伝えしよう。

文/松永暢史、写真/前田大介、構成/神 素子