さまざまな分野の女性リーダーに、自分にとっての「働く」「育てる」を聞くこの連載。シナモンのCEO(最高経営責任者)平野未来さんに、後編では仕事と子育ての両立と、平野さんの「新しいことに挑戦したい」というスピリットを育んだ両親の教育方針について伺いました。
(前編) 平野未来「ビジョン描き、ワクワクする」リーダーの役割

プライベートと仕事は二者択一ではない
―― 2020年はこれまでのやり方と同じでは太刀打ちできないということを多くの人が経験しました。子育て家庭は、休校・休園中の対応も難しかったと思います。
平野未来さん(以下、平野) あのときの2カ月間は記憶がないくらい大変でした。夫も在宅勤務だったので、2歳と1歳だった子どもたちが朝起きてから夜寝る時間まで2~3時間ずつ交代で面倒を見て、もう一人はその間に働くという形をとっていました。夫婦2人で対応できたとはいえ、体力的にも精神的にもしんどい部分がありました。自分がすべきことが全然できていないストレスもたまって……。子どもと接する時間だけは仕事のことを忘れて子どもたちに集中しようと決めていました。
―― 在宅勤務やシフト勤務が広がり、働き方そのものが大きく変わりましたね。
平野 子育てと仕事の両立生活では、親でありビジネスパーソンであるという複数の役割がなるべく重なるような人生設計をしていくといいと思っています。「プライベートと仕事は相反するもので、どちらかを犠牲にしてもう1つのほうを頑張る」という考え方がありますが、プライベートと仕事、それぞれの環境での役割が少しずつ重なっていると、幸福度や人生の充実度が上がっていくと思っています。
例えば私は、将来子どもたちが働き始めた頃に「お母さんは真の変革者だよね!」と言われる日のことを妄想しています。「私たちが小さい頃の日本ではアンハッピーに働いている人が多かったけど、お母さんたちが作った技術のおかげで今はそうではないよ」と言ってもらうイメージです。自分が今、仕事で頑張っていることは、家族にもきっといい影響を与えるし、それは役割を重ねるメリットだと思います。