国が子どもたちの教育を把握するシステム
パソコンがない子どもたちに向けて、寄付を募る機関やParents Support Groupなども多くあります。パソコンがない子や、自宅で大人のサポートがない子どもたち、そのほか事情がある子どもたちは、引き続き学校に来てもいいことになっており、学校で学習している子どもたちも多少はいるようです。
例年なら、シンガポールの公立学校は6月がホリデーです。しかしこの状況下で、自宅学習の時間が多くなるほど、教育格差が開いてくるという懸念もあるのでしょうか。教員たちの負担も大きいのかもしれません。本来6月だった休みは5月に繰り上げられ、6月はコロナが収束していれば学校が通常通り再開されることになりました。

教師が子どものメンタルや学習の進捗を確認するような仕組みも整っています。
中学生の長女の場合は、前ページで紹介したように、オンラインで出席確認を含むホームルームが毎日あります。
小学生の次女の場合は、朝10時までにアプリで出欠を確認します。体温チェックと、今日は元気かどうか、ワークができるかどうか、好きな色は? 好きな動物は? など、子どもたちが喜びそうなオプション回答の質問に答えて返信します。休校が始まって3週間ほどがたちましたが(原稿執筆の4月29日時点)、今日は少人数のグループに分かれ、Google Hangoutsで担任の先生と話す会がありました。
親と学校との連絡もアプリを活用して行います。普段からClassDojoというアプリを使って、家庭と各教科の先生との間で連絡網がつながっています。クラス全体で、また個人的にでも、いつでも先生にいろいろと質問可能です。
それとは別に、通常時から、ローカル校に通う生徒の親全員にParents Gatewayというアプリの導入を推薦されていて、そこで「MOE(教育省)―学校―親」がつなげられ、オフィシャルな連絡漏れがないようになっています。生徒はこのアプリを使ってホリデー前には海外旅行をする際の行き先などを通告する義務があり、今回も政府が子どもたちの春休みの渡航歴を把握するのに大変役立ちました。海外渡航歴がある子どもたちは2週間自宅待機という措置が取られました。このアプリは中学、高校に上がっても自動連結されるので、進学時や転校などがあった際も漏れることがありません。子どもが複数いても一括で把握できるので便利です。
教育国家と呼ばれるシンガポール。ここ数年、こうしたアプリなどを使い、国が子どもの進路や才能を把握していくシステムにうまく切り替えてきたという印象があります。教育省ですべての子どもの学校進学情報を管理していて怖い、という考え方もありますが、政府が子どもたちの教育に責任を持っている点については、今回のようにプラスの面もあると個人的には感じています。
Grow Up Global代表
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