親の苦手分野はどう教えれば?
千葉 例えば勉強面では「なんで、こんな簡単なことができないの?」と思ってしまうような間違いであったとしても、そうは口に出さず、一緒に問題を見返して、間違った問題をもう一度、一緒に解くようにしています。
新しく覚えた漢字を10回正しく書くという宿題が出たときには、私も一緒に10回書きました。
―― 「どうしてこんな簡単なことできないの!」と怒ったことはないと?
千葉 それは一度もないですね。親にとっては簡単でも、1年生にとっては難しいことに取り組んでいるわけなので。別に手を抜いて間違ったわけではないですから。
―― 親も教えられないような苦手分野の場合、どうやって、子どもと一緒に取り組めばいいのでしょうか。
千葉 「一緒に」というと、「親が子どものいい手本にならないといけない」と頑張り過ぎてしまう人もいるかもしれませんが、必ずしもお手本になる必要はないと思います。親の苦手な分野のことなら、「どうやればいいんだろうね」と、子どもとやり方を調べるのもいいのでは。私も、知らない折り紙の折り方をネットでやり方を検索したりして、子どもと一緒に練習しています。

―― 肩に力が入っていない感じがいいですね。親が頑張り過ぎる必要はないということですね。
千葉 ほどほどならいいですが、「いい親であろう」と頑張り過ぎるのはいけませんね。実は私、過去に頑張り過ぎて、倒れてしまったことがあるんです。2人の育児と仕事との両立で休む暇がなくて……。子どもが1人の時は、子どもが寝ている間に自分も昼寝したり休憩したりする時間がありました。でも2人だと、下の子が寝ていても、上の子の相手があるわけで。忙しくて、自分がごはんを食べる時間も惜しかったので、食べない選択をしてみたんです。「別に走るわけじゃないんだから、ちょっと抜いたって大丈夫だ」と思ってしまって……。そしたら、洗濯物を干している時に、倒れてしまいました。
―― 貧血か何かだったのでしょうか。
千葉 たぶん熱中症だったのだと思います。顔がひっくひっくけいれんしてきて、脱水症状みたいになりました。「千葉は、マラソンでは1回も倒れたことないのに、子育てで倒れた」っていうのが、今ではネタになっています(笑)。
子育て中のパパやママに言いたいのは、それくらい子育ては大変なんだ!ってこと。子育てはスポーツそのものといっても言い過ぎではないと思います。
子育ても家事も頑張り過ぎるのはよくありません。完璧じゃなくていいと、自分に言い聞かせています。「いいかげん」でやっていきたいですね。あとは、ペース配分でしょうか。マラソンと同じように、子育てでも自分のペースをちゃんと知ったうえで、配分を考えて、無理せずに「完走」したいと思います。
―― 「いいかげん」で、自分に合ったペース配分を、ですね。親の代わりはいませんから、子どもが育つまで、走り切ることが大事ですね。示唆に富むお話を、ありがとうございました。
取材・文/児玉真悠子 写真/鈴木愛子 イメージ写真/PIXTA
マラソンランナー/スポーツコメンテーター
