コロナ下ストレスを減らす 夫婦、親子、仕事の新しい距離感
ロールモデルの少ない女性管理職。「正しく頑張る」とは?
新型コロナウイルスの影響によるリモートワークの広まりで、働き方も大きく変わりました。30~40代を中心とした日経DUALの読者は、同僚とのコミュニケーションが取りにくいことや、仕事とプライベートのメリハリが付きにくいことをストレスに感じている人が多いようです。
また、日本経済新聞社が昨年秋に郵送世論調査を実施し、新型コロナウイルスをきっかけとする働き方の変化などについて調べたところ、管理職に当たる層の労働時間だけが1年前よりも長くなっていることが分かりました。コロナ下で働き方が変わり、前例のない働き方を求められていることが影響しているのでしょうか。
DUAL世代の中にも管理職やリーダーを務める女性が増えています。ロールモデルが少ないためにこれまでも悩みを抱えるシーンが多かったママ管理職たちは、さらに長時間労働に関する悩みやストレスを抱えているかもしれません。
長時間労働に陥ることなく管理職が責務を果たすには、どのようなマインドや働き方の工夫が必要なのでしょうか。
そこで、『40代を後悔しない50のリスト』シリーズ(ダイヤモンド社)の著者で、1万人以上のビジネスパーソンへの聞き取り経験などを基に「正しい頑張り方」やマネジメントの方法、40代の働き方などを発信している大塚寿さんにアドバイスをもらいました。上編と中編、下編の3本に分けてお伝えします。
上編 管理職がリモートワークで長時間労働になる理由とは ←今回はココ
中編 管理職の働き過ぎ防ぐ「前始末」と毎日5分の打ち合わせ
下編 ToDoリストより時間割大事 終わらずとも延長しない
そもそもなぜ、コロナ下やリモートワークで管理職が長時間労働になるのでしょうか。大塚さんは「管理職はプレーヤーのときとは異なる時間の使い方、正しい頑張り方が求められます。しかし、押さえるべきポイントを知らないために、頑張れば頑張るほど長時間労働になる負のスパイラルに陥ってしまう管理職は多いです。加えて女性管理職は真面目さと責任感の強さ故に陥りやすい傾向があります」と指摘します。
具体的には、以下のような理由が考えられると言います。
コロナ禍やリモートワークにより、管理職が長時間労働になってしまう主な理由
【イレギュラー案件が多発するため】
■コロナ前は定型的な仕事がメインで仕事を部下やメンバーにどーんと任せ、最後にチェックするだけで済んでいたとしても、今はコロナ下でビジネス環境が大きく変わった。業績が悪化したり、ビジネスモデルを変える必要が出たり、イレギュラーな事態が相次いだりしている。
そのため、多くの案件で管理職の細かいチェックが必要に。また、管理職は、部下から相談を受けたら応じないわけにはいかないので、そこに時間がとられがち。その結果、部下・メンバーと一緒に考え、一緒に手を動かしたり、各方面と調整する必要もあったりして、長時間労働になってしまう。
■新規案件はスケジュールが読みにくい。上からも無理なスケジュールが降ってくる。これに加えて、リモートワーク下で、部下の様子がちゃんとつかめず、指示したつもりがちゃんと伝わっていない、あとでやり直しが発生するといったことも頻発する。その結果、納期に間に合わない恐れがある→働き方改革で部下を残業させられない→最後は管理職である自分がまき取る→長時間労働になる、といった展開になりやすい。
【リモートワークで部下の状況が分からないため】
■リモートワークでは職場の雰囲気が分かりにくい。真面目で責任感が強い管理職の場合、100点満点の仕事を目指し、部下がやるべき仕事も自分でやろうとしてしまうこともあるだろう。そのため、管理職としての仕事にプレーヤーの仕事も加わり、長時間労働になりやすい。部下の意向を尊重するタイプのリーダーは、「部下に嫌われたくない」という気持ちから、ネガティブなことを言えず、「部下に無理はさせられない」などとして、自分が仕事を引き受けてしまうことも。リモートワーク下で相手の事情が分かりにくいと、忖度(そんたく)してその傾向が強まってしまう。
「コロナ下のリモートワークにおいては、マネジメント上、難しい要素がたくさんあります。しかし、正しい頑張り方や時間の使い方を押さえれば、そのような状況でも長時間労働は避けられます」と大塚さんは言います。
そこで次ページでは、そもそも管理職がリモートワーク下で、どんなストレスを感じやすいのかを聞いていきます。