共働き子育てしやすい企業ランキング2022
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「共働き子育てしやすい企業」に不可欠なのは、子育てや介護といった事情を抱えている人も含め、誰もがその能力を発揮できる組織・企業風土です。そうした風土づくりを現場で直接担う管理職には、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の考え方に基づき、多様な部下の能力を生かしつつマネジメントを行う「イクボス」や「WLB(ワーク・ライフ・バランス)管理職」の視点が求められています。
イクボスやWLB管理職とは、部下・スタッフのワーク・ライフ・バランスとキャリアを考えながら、組織としても成果を上げつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司のこと。時代とともに、ダイバーシティ経営のあり方や、あるべき管理職の姿も進化している今、管理職はどのようなことを意識してマネジメントを行っていけばよいのでしょうか。「共働き子育てしやすい企業ランキング」のアドバイザーの一人である、中央大学大学院戦略経営研究科教授の佐藤博樹さんに聞きました。
マネジメントの成否を分けるのは部下との「相互理解」
一般に、管理職と部下の関係は「上下」の関係として語られることが多いもの。しかし、「管理職が部署としての目標を達成するには部下に意欲的に働いてもらわなければならないという意味において、管理職は部下の働き方に依存する存在です。これを『他者依存性がある』と言います」と佐藤さんは言います。
「管理職の中には、目標に到達するまでのプロセスにおいても1から10まで事細かに部下に指示を出すマイクロマネジメントを行う人がいますが、それは部下のやる気をそいでしまうことが多いのです。部下のモチベーションを上げるには部下に裁量権を与えること。そして頼んだ仕事は信頼して任せることが重要です」
現在は、決められたルーティンを回せばいいという仕事は少なくなり、目標への到達方法に多様な選択肢がある仕事が増えてきています。このような状況下では、「部下に裁量権を与え、信頼して任せてしまうことが、仕事の成果や創造性に結びつくケースが多い」と佐藤さんは指摘します。とはいえ、信頼して任せるのはリスクが高い、任せても、期日までに十分なアウトプットが出てこなければ、結局尻拭いをするのは自分になる、と考えて、仕事を指示する時だけでなく、途中でも細かく指示を出す管理職もいます。
部下のスキルが足りない場合は適切な指導も必要と言えますが、当該業務に関して十分なスキルを持っている部下にまで自分の思い通りに、ピンポイントの着地点に到達するように動かそうとしてマイクロマネジメントをしてしまう管理職の場合は注意が必要です。
「マイクロマネジメントになりがちなのは、管理職と部下の間に相互理解がないからです。この相互理解のために欠かせないのが、ダイバーシティ&インクルージョンの観点です。ダイバーシティという言葉は『多様な経験や価値観を持つ人材を活用する』という意味合いで使われることが多いですが、これからの時代の管理職はもう一つのダイバーシティも意識する必要があります」
仕事の面で、管理職と部下の間の相互理解が必要となるシーンは多々あります。それを管理職が「自分の考え方と違うからダメ」と抑え込まずに、部下を信頼して任せ、部下が考えるゴールに到達させることが、結果的に思いもよらない成功につながり、大きな成果につながることもあり得ます。だから、部下を信頼して任せ、その着地点も含めて、管理職が自分の想定と違っていても受け入れる姿勢が大切なのです。
では、「もう一つのダイバーシティ」とは、具体的にどのようなことなのでしょうか。
●自分と異なる価値観を持っている部下、どうマネジメントする?
●多様な価値観を理解できる上司になるためにやっておくこととは。
