「今日は学校に行きたくない」と言われたら
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不登校の児童生徒数は8年連続で最多を更新中
2021年10月に文部科学省(以下文科省)が発表した「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、20年度の小中学校の不登校の児童生徒数は19万6127人と過去最多になりました。その中でも、小学生の不登校児の人数は13年度から8年連続で増加しています。文科省による不登校の定義は、「病気や経済的理由などの事情がなく、年間の欠席日数が30日以上となった状態」を指します。しかし、短時間でも登校すれば欠席にはならず、保健室や別室への登校でも出席扱いとなるため、潜在的な不登校はその数倍は存在するといわれます。
実は、文科省が不登校の調査を開始して以来、ゆとり教育の時期(平成14年~24年ごろ)にはいったん不登校の子どもの数は頭打ちになりました。しかし、その後の「脱・ゆとり教育」へのシフトとともに不登校も増加に転じています。

不登校とは「子どもが学校に行かない」「子どもが学校に行きたくても、行けない」といった状態のこと。先生や同級生との人間関係の問題や、いじめ、親から身体的・心理的虐待を受けているなど理由はさまざまですが、原因がどれか1つに絞られていることは少ないといいます。
「その原因は複合的です。一見問題がないように見えても、さまざまな原因が絡み合って起こることもあります。つまり、不登校はどの子どもにも起こる可能性があるのです」と立教大学コミュニティ福祉学部福祉学科助教で、子ども福祉などを専門とする山田恵子さんは指摘します。
ただ、そもそも、「子どもが学校に行かないこと」は一体何が問題なのでしょうか。最近は、子どもが学校に行きたがらない場合に「何が何でも子どもを学校に行かせる」よりも、「無理をして学校に行く必要はない、休んでもいい」とする人のほうが多いのではないでしょうか。
山田さんも、「例えば、学校に行こうとするとおなかや頭が痛くなるなど体の不調が生じたり、起立性調節障害などがあったりする場合、無理をせずゆっくり休息をとることが大切」と指摘します。
それでも、「長期的なスパンで考えると、学校に行かないことによって、子ども自身がかぶるデメリットは大きく2つあります」と山田さん。それはどういうことでしょうか。論点を整理していきましょう。
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