「楽・近・短」習い事&体験のススメ
親子三世代で動物学者の今泉さん 体験がその後の「土台」に
小学生の子どもたちに大人気のシリーズ『ざんねんないきもの事典』(高橋書店)で、動物たちの知られざる生態を楽しく伝えている、動物学者の今泉忠明さん。子どもたちが日本の山や森へもっと興味を持ち、多様な視点で自然体験をしてほしいと、新著『あえるよ! 山と森の動物たち』(朝日出版社)で、さまざまなヒントを提案しています。
父親が動物学者だった今泉さん。小3の頃から山でネズミ捕りのわなをしかけ、ネズミの標本を作る「お手伝い」をして育ったと言います。今泉さんは、父親に「勉強しろ」と言われたことはなく、それどころか「勉強を先にすると頭が『ませる』からよくない。机の上で思いつきだけを言うような、頭でっかちの人間になってしまう」という考え方で育てられたと言います。
自身も動物学者になり、やがて親になった今泉さんは、息子が小さい頃から親子一緒に多様な自然体験をして育て、結果的に息子も動物学者になりました。
「子どものときは、その後の興味・関心や学びの『土台』になる『体験』を積むことが大事だと思います」と今泉さんは言います。
とはいえ、昔と違って、都会には子どもたちだけで遊び回れるような自然環境は乏しく、「勉強させないで遊ばせる=自然の中で多様な体験をする」という状況には必ずしもならないのが悩ましいところ。親世代も子どもに伝えられるほど、自然についての知識や体験を持ち合わせていないかもしれません。
しかし少し視点を変えれば、近場でも自然に触れる体験は可能で、さらにその体験を自然への興味・関心を伸ばすきっかけにすることができると今泉さんはアドバイスします。「親は、自然についての知識や体験を持っていなくても、長く生きている分、『知恵』は持っているはず。その知恵を使って、子どもに駆け引きを仕掛け、『ちょっと背中を押す』ことが、子どもの意欲を引き出すことにつながるでしょう」

子どもを主役にする時間を設定し、その時間は子どものペースに合わせることも、今泉さんは提案しています。普段は多忙な共働き親も、そうした時間を取りやすいのが、比較的時間に余裕のある夏休みかもしれません。近場でできる「視点を変えた」自然体験や、子どもの興味・関心を伸ばす親の3つのコツ、声かけのヒントなどを上編・中編・下編の3回にわたって詳しく説明します。