共働き目線の塾研究
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1塾って通わないといけない場所? 目的とメリデメは
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2「1年生からの進学塾通い」って実際はどうなの?
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3入塾テスト準備、何すれば? してはいけない対策も
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4受験塾の下位クラスになったら通う意味はないの?←今回はココ
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5現役教室長と共働き親に聞く、四大「大手塾」の面倒見
大手進学塾では、学力別にクラスが編成されます。その際、よく聞くのが、「下位クラスには経験を積んだベテランの先生は配置されず、授業のクオリティーが低いから通う意味がない」といった噂です。わが子が下位クラスになって、成績が上がらない場合、親も「やはりそうなのか。それなら転塾を考えたほうがよいかもしれない」と思うかもしれません。一方で、最難関校への合格者が多いことで有名な塾へ通っている場合は、せっかく入塾できたのにと、ブランドに固執してやめられないこともあるでしょう。
わが子が下位クラスになったら、親はどのように考え、どんな対応をとったらよいのでしょうか。下位クラスでも通う意味はあるのでしょうか。元サピックス小学部室長で、進学塾の運営に詳しい粟根秀史さんに詳しく聞きました。
粟根さんは塾の下位クラスにまつわる噂について次のように解説します。「下位クラスは授業のクオリティーが低いということはありません。大手進学塾では上位と下位で違う講師が担当していることが多いですが、それは適材適所で、それぞれのクラスに合った講師を配置しているからです」
例えば、粟根さんが勤務していたサピックスでは、上位クラスには中学受験における御三家の入試問題に精通し、生徒を合格レベルまで導ける少数精鋭の講師が配置されています。一方、下位クラスは教科指導力があるのは当たり前で、かつ面倒見がよく、エネルギッシュな講師が担当します。
「以前はサピックスに集まる生徒は、勉強が好きで御三家などの最難関中学を目指す子ばかりでした。しかし今は中学受験の裾野が広がり、勉強よりも遊ぶのが好きな『普通の子』もサピックスに来るようになっています。その生徒たちは勉強に対するモチベーションがあまり高くないので、多くは下位クラスに入ります。
彼らにまず必要なのは、勉強へのモチベーションです。そこで、重要になるのが講師との関係性です。講師が授業を楽しく盛り上げたり、『よく宿題してきたね』と褒めてくれたりすることで、『あの先生に会いに来週も塾に行こう、宿題もやっていこう』と思うようになる。そのような関係性を築くには、生徒の年齢に近い若い講師のほうが適している傾向があります。
親御さんは、経験豊富なベテラン講師のほうが優れていると思うかもしれません。しかし大手進学塾では講師の採用基準は厳しく、しっかりとした研修を経てから教壇に立っています。『若いから、経験が少ないから、学生バイトだからハズレ講師』と判断するのは短絡的でしょう」
それでも、わが子が下位クラスになって、成績が上がらないと「このクラスで子どもの成績は伸びるのだろうか。この塾に通う意味があるのだろうか」と不安になるものです。粟根さんは「不安をかき立てられたときほど、子どもをしっかり見ることが大切です。このままで大丈夫そうか、転塾したほうがよいか迷ったときは、次の3つのポイントを見てから判断するとよいでしょう」と話します。
(1)正しい学習サイクルが身に付いているか
(2)塾の授業内容を半分以上理解しているか
(3)子どもの目に輝きがあり、塾に通うことを楽しんでいるか
