人には言えないわが家の悩み 出口戦略
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5投資、酒、ゲーム…家族を依存症から救うには?←今回はココ
依存症には2つの種類がある
「体調を崩してもお酒を飲み続けてしまう」「FX(外国為替証拠金)取引にのめり込み、子どもの教育費にまで手を付けてしまった」「子どもは家にいてもゲーム三昧。インターネットゲームの課金でとんでもない金額を請求された」――。
あなた自身やあなたの家族はこんな状況に陥っていないでしょうか。本人や家族はやめたい、やめさせたいと思っていても特定の行為をやめられない、さらには生活に支障が出ているという場合は「依存症」を疑ったほうがいいかもしれません。依存症は本人だけの問題ではなく、家族の生命や健康、財産などにも影響を与えうる心の病気です。でも、どこからが「依存症」かという線引きは難しく、どのような対応をすればよいのかは迷う部分が多いかもしれません。

そもそも依存症とはどのような状態をいうのでしょうか。長く国内の依存症治療をけん引してきた国立病院機構久里浜医療センター名誉院長・顧問の樋口進さんは「わくわく感や快感などを引き起こす物質や行為を過剰に追い求め、健康や生活に問題が出てくることを依存といいます」と解説します。
依存症は大きく分けて2つに分類されます。1つはアルコールや薬物など「物質」に対する依存。もう1つはギャンブルやゲームなど「行為や過程」への依存です。形態は違いますが、いずれも「物質や行為によって神経伝達物質のドーパミンなどが多く分泌されて気持ちよくなり、さらに脳の理性的な行動をつかさどる機能、分かりやすく言えば我慢をする機能が低下させられることによって引き起こされる」と樋口さん。そして「症状が現れたら、できるだけ早期に治療へ進むことが改善への第一歩になります」と続けます。
いずれの依存症も原因はさまざまですが、これまでの研究では遺伝や生活環境が大きくかかわっていることが分かっています。つまり、親が依存症であろうとなかろうと、子が依存症になる可能性はあるのです。「お酒を飲み始めたり、ゲームをし始めたりする年齢が低ければ、より依存症になりやすいともいわれています」と樋口さん。そのため、例えば親がゲームに没頭することが多い家庭の場合は、子どもが幼い頃からゲームに触れる機会が増えるため、依存症のリスクが高まるとも指摘します。
社会的に責任のある仕事をしている人や高学歴の人が依存症になってしまうケースも少なくありません。しかも「投資やギャンブルへの依存によって生まれる損失の大きさは、その人の経済力に比例するところがあり、年収が高い人の場合は何百万円、何千万円といった単位に膨らんでしまうことがある」とも樋口さんは言います。
もし、あなた自身やあなたの家族が依存症ではないかと疑われる行動を見せたとき、そこから抜け出すには、どのようにすればいいのでしょうか。
・依存症は自分の力だけでは克服が難しい
・どのタイミングで医療機関や専門家に相談すればいい?
・依存症が疑われるパートナーを説得するときの注意点は?