待ったなしの英語教育、学びのロードマップはどうつくる
親もブラッシュアップする気持ちで英語に取り組もう
子どもが将来、いろいろな選択肢を持つためには、実践的な英語を身に付けることが大切。それは分かるけれど、どのような方法がよいか分からなかったり、忙しくて先送りにしたりしている人も多いでしょう。始めるからには失敗したくないとプレッシャーを感じている人もいるかもしれません。
子どもの言語獲得・発達が専門で、英語教育に携わっている玉川大学大学院名誉教授の佐藤久美子さんは「英語教育をプレッシャーに感じず、親子で気軽に始めるとよい」とアドバイスします。「子どもに学ばせると言うより親も学び直す、という姿勢がおすすめです。例えば、『コロナが収まったら海外旅行に行こうね』と子どもと目標を立てて、それまでに親御さんもブラッシュアップしておくのです。子どもも英語が話せたら外国の子と話せるのかと世界が広がり、英語を学ぶ動機づけになります」
英語を嫌がる子には日本語多めに。興味のある分野から導入
幼児や低学年になってから英語を始めても、ほとんどの子は英語のリズムを楽しんだり、英語圏の文化に興味を持って取り組んだりします。しかし若干ですが、急に英語が入ってくることを嫌がる子もいます。親が英語のフレーズで話しかけたり、英語でアニメを見せたりすると嫌がって、「日本語にして」と言うのです。
佐藤さんは「そのような場合は無理をせず、徐々に英語を増やしていくとよい」とアドバイスします。「子どもは意味が分からないと嫌がるので、日本語で『何色が好き?』と言ってから『What color do you like?』と尋ねるとよいでしょう。英語でアニメを見るときも、1度日本語で見たことのあるものにして、途中で『今、○○していたね』『○○って言っていたね』と日本語で解説を入れます。すると少しずつ英語を理解できるようになり、嫌がらなくなります。
英語での読み聞かせも、子どもが好きなテーマの絵本を選び、親が声色を使って読むと、絵本の世界に入りやすくなります。『小学3年生になったら英語が始まるんだよ。少しやっておこうか』と誘うのも動機になるでしょう」
「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を身に付けていくには、子どもの発達段階に合わせて、いつ・どんなことを行うかという長期戦略を親が持つことが必要です。そこで佐藤さんに英語教育のロードマップを提案してもらいました。0歳から高学年までを下記の5つの段階期に分けて、それぞれに行うべき課題を紹介します。まずは該当する年齢からスタートし、難しいと感じたら、1つ前のステップに戻るとよいでしょう。
【1】0歳~2歳半
【2】2歳半~年長
【3】低学年
【4】中学年
【5】高学年
本記事では【2】(2歳半~年長)と【3】(低学年)の英語学習について紹介します。
親が関わるのは平日は1日10分でも構いません。大切なのは毎日続けて習慣化すること。「私が教え方を指導している、ある認定こども園でも英語の時間は1日10分だけなのですが、毎日続けるうちに、1年後には子どもたちの発音がよくなり、アウトプットもできるようになりました。平日は10分でも、休日はもう少し長く時間を取れるといいですね」
英語学習の5段階ロードマップはこの記事で紹介
0歳~2歳半はこちらの記事で紹介!
■【上編】子への英語教育は5段階で考える まずは親子遊び
2歳半~年長、低学年はこちらの記事で紹介!
■【中編】幼児~低学年「ABCでお名前書けた」で英語に自信を ←今回はココ
中学年、高学年はこちらの記事で紹介!
■【下編】中~高学年の英語 「辞書」フル活用で独習時間を増やす