インプット3:アウトプット7が黄金比 書く・話す・表現する アウトプットが子どもを伸ばす
図解の「威力」を親が理解すれば、子どもにも伝えられる
「デジタル化が進み、複雑性を増している世の中において、今後さらに図解力は必要になる」。ビジネスパーソン向けに、対話や会議をしながらどんどん図解するスキル「グラフィックレコーディング」を教えているアートディレクターの日高由美子さんは、こう推測します。
「打ち合わせなどで、話を聞きながら、その内容を即座に図にしていくことは結構難しいものです。しかし、講座を受講したあるパパが、自宅に帰って、家族で話をしながら、その場の話の内容をどんどん図解していったところ、小5の子が『パパすごい』とまねをするようになったといいます。その子は、学校でも、板書ではなくて、先生が授業で教える内容をどんどん図解し、可視化して見せて、先生に褒められ、勉強への意欲が高まったそうです」
対話や会議の場で、グラフィックレコーディングを行ったり、進行役も兼ねて会議内容を図解していくグラフィックファシリテーションをしたりすることは、複雑な物事を分かりやすくするだけでなく、議論を活性化させる効果があると日高さんは言います。
「図が存在することによって、『その部分がちょっと分かりにくい』といった疑問点が浮かび上がったり、意見が言いやすくなったりします。対話を促すことができ、そこから新しいアイデアが生まれるなど、議論の内容を高めることができます。図解すると、記憶にも残りやすいですし、写真で残せば後で振り返るのにも役立ちます」
図(文字を含む)を使って、自分の頭の中にあるものを可視化する「図解」に子どもの頃から家庭で取り組めば、コミュニケーション力はもちろん、インプットしたことを自分の頭の中で整理する力やプレゼン力も養えて子どもの学力向上にも役立つと日高さんは言います。
そのためのツールとして日高さんは、「描く」と「伝える」が同時にでき、すぐ消せるので、描くという行為のハードルが下がるホワイトボードを勧めます。日常生活を通じて、親子で実践しながら図解力を上げていくことができる点がメリットだと、日高さんは説明します。
「リビングなど家族のオープンスペースに大きめのホワイトボードが設置できれば最適です。壁に貼るスペースがなければ、机の上に広げても使える『セーラーどこでもシート』(セーラー万年筆)といった、切って使えるシートタイプのものを食卓などに広げて話しながら描くのもお勧めです」
「コツさえ知っていれば、絵が上手である必要はありません」と話す日高さんに、図解することのメリットや、親子で図解力をアップさせるために押さえておきたいポイント、家庭内で使える具体的な図解スキルなどを次ページから詳しく教えてもらいます。
親子で図解力がアップするポイント
(1)「3つのI(アイ)」の効果を意識する
(2)絵は下手でもOK。「線」と「丸」の使い分けが大事
(3)親子で対話しながら図解する
(4)親は「教える」のではなくて「見せる」
