職場で・夫婦間で・社会で 磨け!共働きの交渉力
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5否定しない、遮らない家族会議で子の交渉力が伸びる←今回はココ
なぜ、家族会議で子どもの「交渉力」が伸びるのか?
共働きで忙しい毎日を送っていると、つい家族のコミュニケーションを後回しにしてしまいがちに。 気付けば夫婦の会話は業務連絡のみ、子どもはちっとも学校であったことなどを話してくれなくなり、なんだか家族みんながバラバラ……。
教育ライターとして多くの家族会議を取材し、家族会議のワークショップを主催したり個人宅の家族会議でファシリテーターを務めたりする玉居子泰子さんは、こうした状況を打破する方法として、家族のチーム力を高める「家族会議」を勧めます。
「家族会議というと、以前は『おじいちゃんが入院することになった』『パパの転勤が決まった』など、家族の一大事に神妙な顔をして大人たちが話し合うイメージがあったかもしれませんが、ここでいう『家族会議』はちょっと違います。テーマは日常のささいなことでOK。楽しく話しながら子どもの対話力を高めることができ、会議の間は大人と子どもが対等です。原則としてルールさえ守っていれば、子どもがどんな意見を言ってもとがめられることはありません」

「家族会議では相手を論破したり言い負かしたりすることなく、自分の希望を伝え、家族がそれを受け入れられなかったときにはみんなで妥協点を探ります。こうしたプロセスは、まさに『交渉』そのもの。将来的な子どもの交渉力を伸ばす意味でも、家族会議を行うのはお勧めだと思います」
家族会議で「交渉力を磨く!」と聞くと、人によっては「子どもに欲しい物があるときに、プレゼンテーションをさせて大人を納得させれば買ってあげる」という交渉のスキルアップを思い浮かべるかもしれません。しかし、玉居子さんが思う「家族会議」のメリットはそうした部分とはちょっと違います。
「最大のメリットは、子どもが『自分の考えや希望を伝えてもいいんだ』と思えることです。大人に意見をするときに、『どうせダメに決まってる』『怒られたらどうしよう』と考えたり、実際、親や先生に、反論されて対話することができなかったりといった経験をしていると、人は自分の希望を伝えるのが怖くなってしまいます。家族会議を通して、『何を言っても怒られない』『受け止めてもらえる』と感じられることは、子どもにとって、『交渉するのは当たり前』『自分の希望を伝えることは当然の権利』だと感じられる大きな要素になると思います」
つまり家族会議には、ありのままの子どもを受け入れる場としての役割もあるのです。しかし、だからといっていきなり「家族会議をしよう!」と言って始めようとしてもあまりうまくはいかないことも。玉居子さんは、これから家族会議を始める中で想定されるハードルとして、以下の3つを挙げます。

次のページからは、それぞれの壁にぶつかったときの解消法について、具体的に解説していきます!