脱「受け身」スマホ&タブレット・ゲームとの付き合い方
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2親子で動画作成 作り手のネットリテラシーも学ぼう
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3ゲームを学びに生かすために「親子の対話」大事な理由
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4ゲームを子どもの学びの材料に VR研究者パパの工夫
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6ネット情報に接するとき 親子で知りたい「ソウカナ」
「火の怖さを教えず花火を配るようなもの」
「メディアリテラシーについてきちんと教えずに、タブレットなどの端末を配るのは、火の怖さを教えずに、花火を配るようなもの」。そう心配するのは、メディアリテラシーについての説明文「想像力のスイッチを入れよう」が小5国語教科書(光村図書出版)にも掲載されている、ジャーナリストの下村健一さんです。
小中学生に1人1台の端末を配備するGIGAスクール構想の達成目標が、コロナ禍によって2020年度中に前倒しされ、教育現場は大きな変革期を迎えています。「ならば『危ないから花火を配るのをやめよう』ではなく、子どもたちに火の怖さと取り扱い方を教えるべきです。そのために家庭が果たす役割は大きいと思います」と下村さんは言います。
メディアリテラシーといえば、一昔前は、新聞やテレビなどの報道の読み解き方が主流でした。「SNSなどを通じて誰もが発信者になり得るため、今や子どもから大人まで、一人ひとりの個人が『メディア』になったといえます」。「メディア」である個人が、情報をどう受け取るか、どう送り出すかについて考えることが、より重要になっています。
新型コロナウイルスの感染予防法などについて、さまざまなデマがSNSで拡散されたことが問題になりました。「コロナはみんなにとって自分事で関心が高い。だからこそ、正確な情報を選び取るなどメディアリテラシーの重要さを誰もが意識しやすい状況になっています」
SNS時代のデマは、コロナウイルスに似ていると下村さんは言います。「『デマなんて大昔からあったよ』という人はいますが、インターネット時代の『コロナ・デマ』は感染力が強く、誰もが感染源になり得ます。社会におけるデマ対策には真偽を検証するファクトチェックのシステムも必要ですが、これはいわば解熱剤です。解熱剤だけではもぐらたたきなので、自分を熱が出にくい体質にするためのワクチンともいえる、メディアリテラシーと両輪で進めなければなりません」
「よくかむ」といった食事の方法や、「道路を渡るときは左右を見てから」といった道の歩き方と同じように「情報との付き合い方」を親が子どもに伝える必要がある、と下村さん。とはいえ、親はメディアリテラシーを習ってきていません。だからこそ親が知っておきたい姿勢があると言います。この前編では、家庭でメディアリテラシーを学ぶときに親が心がけたい姿勢を、後編ではSNSや動画、テレビニュースなどすべてに応用できる基本的な考え方のポイントについて、下村さんに聞きました。