発信力=存在感が必須スキルに 「意見を言える子」の育て方
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意見を言うことは、自分という存在を周囲に知らしめること
わが子が友達と遊んでいる様子を見ると、言いたいことを飲み込んでいるように感じる。小学校の公開授業や、塾や習い事のオンライン授業を受けているときに、全く発言をせず、お客さん状態になっている。子どもに「今日は学校で何をしたの?」と聞いても「特にない」としか答えない。
こうしたときに、「はっきりと自分の意見を言える子になってほしい」とやきもきしてしまいませんか。決して、主張ばかりする、押しの強い子になってほしいわけではない。でも、相手から尊重・理解してもらうために、必要に応じて自分の気持ちや意思を口に出せるようになってほしい、というのが親に共通する思いではないでしょうか。
「人工知能(AI)技術が進歩し、グローバル化が広がる中で、自分の意見をきちんと持ち、それを伝え、議論することができなければ、自分のプレゼンス(存在感)がなくなってしまう時代になってきています。自分の意見を主張することはますます大切になります」と話すのは、狩野みきさん。子どもを対象に、「考える・伝える力」を伸ばすクラスを主宰し、慶応義塾大学をはじめ各大学で授業を持っています。
特にAIの台頭について、狩野さんはこう話します。
「将来、仕事の半分以上がAIに代替されると言われています。世界経済フォーラム(ダボス会議)が予測した、未来の雇用に必要とされるスキルのトップ10が2015年から2020年の5年間で変動しています 。どちらも1位は『複雑な問題解決力』ですが、2020年2位の『クリティカル・シンキング』は4位から浮上、3位『クリイティビィティ』は躍進 、『心の知能』『認識の柔軟性』は圏外からのランクインです。今後必要なスキルの核となるのはAIに代替されない、『人間として』『自分にしかできないこと』で、そこで欠かせないのが『正解のない問題について考え、自分だけの答えを出す』ことなのです」
これまでの日本の教育では、どんな問題にも正解があるとする「正解主義」を重視する傾向がありました。学校だけではなく社会でも「模範解答」があるとして、その「正解」を答えることが良しとされてきました。しかし、これからの「答えのない時代」では、正解のない問いに対してAIに代替されない自分なりの答えを考えて意見を言う能力が必要とされているのです。
「意見を言うことは、自分という存在を周囲に知らしめること。逆にいえば、意見を言わない人や、玉虫色の意見しか言えない人は、そこにいる意味を問われても仕方がないのです」(狩野さん)
