未来を生き抜くのは「お金に強い子!」
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1年収とお金の知識は比例 VUCA時代を生きる力に←今回はココ
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2南章行 週500円の小遣いで判断力と解決力育む
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3未就学児のお金の知識 日常会話や遊びで育てる
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4小遣いは金額より管理を重視 子の自立促すお金教育
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5収入・支出・貯蓄を家族にシェアするマネー会議
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6世界のマネー教育 お金の価値を学び幸せに生きる
「マネー教育」と言われても、ピンと来ない人もいるのではないでしょうか。毎日の生活だけでも大変なのに、子どもも習い事や勉強などでタスクが山積み。そもそも親自身が家計を管理できておらず、子どもに教えるなんてとても無理!という声も。お金のことは大人になってからでも遅くないのでは? そもそもマネー教育って何? 今回は、そんな素朴な疑問を識者に解説してもらいました。
「お金に強い子」がこれからの時代に有利な理由
「子どもにお金について教えるのに、早すぎることはありませんね。保育園児の親御さんも取り組んでほしいです」。そう話すのは、マネー教育の第一人者である横浜国立大学名誉教授の西村隆男さん。金融教育事業を手掛ける森永康平さんも、「これからの時代、子どもたちが生きていく上で、お金の知識は非常に重要なスキルになる」と話します。
「DUAL世代の多くが実感していると思いますが、年功序列制度の廃止に伴い、給料が右肩上がりだった時代は終わりました。国税庁の調査によれば、2018年(最新)の平均給与額は440.7万円。最低だった09年の405.9万円に比べれば回復しているものの、ピークだった97年の467.3万円に比べて約27万円も減少しています」(森永さん)
●平均給与が右肩上がりだった時代は終わった

企業の退職金も、社員が自分で運用する確定拠出型年金(企業型)の導入が増え、加入者は02年末の9万人から19年末には688万人に達しました(厚生労働省「確定拠出年金の各種データ」より)。公的年金は財源が厳しく、国はNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)などを導入、個人の自助努力でお金を増やすことを促しています。「基本的なお金の知識を身に付けていなければ、自分の退職金や老後資金を増やすこともできなくなるのです」(森永さん)
これからの時代を表すキーワードの1つが「VUCA」(ブーカ)。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取ったもので、従来の成功パターンが通用しない、不確実な時代を示す言葉です。そんな時代に必要となるのは、自分で考えて判断し、世間のニーズをくみ取って、新しい仕事を生み出していく力。「子どものうちからお金の使い方を自分で考えたり、決めたりする経験は、大人になってからの意思決定力や判断力、ビジネスセンスにも大きく役立つと考えられます」(森永さん)。
実際に、子どもにお金について教えることで、どんなメリットが得られるのでしょうか。次のページからさらに詳しく見ていきます。
