―― メディアでは、「日本の女性の6割は出産を機に退職する」と報道されていますが、後藤さんはこれについてどうお考えですか?
後藤憲子さん(以下、敬称略) 「出産後に退職する女性が多い」と言う方が根拠としているのは、国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」ではないかと思います。
国立社会保障・人口問題研究所「第14回 出生動向基本調査」(2010年6月)">
出典:国立社会保障・人口問題研究所「第14回 出生動向基本調査」(2010年6月)
この調査によると、2005~2009年に出産退職した人は43.9%です。妊娠前から無職だった24.1%と足し合わせた数値で見ると、68%になります。「出産を機に6割退職する」というのは、この辺りを根拠としているのだと思われます。
ただし、この調査は古く、最も新しい数値でも2005~2009年のものです。このところ、育休を取って復帰する女性が増えているのは、私も肌で感じていますが、それはここ数年の急激な変化です。その変化を反映した最新のデータが発表されたら、産後も仕事を続ける女性の割合が増えている可能性はあると思います。次回は2010~2014年のデータが集計されるはずですので、その結果に注目しましょう。
育休を取得して、仕事に復帰する女性の割合が20年で3倍に増加
―― 先ほどの調査結果を見ると、育児休暇を取得して、その後も就業を継続した人が20年間で、5.7%から17.1%と11.4ポイント増えています(グラフ中、一番上のオレンジ色の部分)。この背景には何があるのでしょう?