学童保育は徐々に増えてきてはいる。厚生労働省のまとめによると、2013年時点で全国に約2万1千カ所があり、約89万人の子どもが登録している。10年前と比べると、クラブの数も人数も1.6倍に増えた。
入りたくても入れない待機児童の数は13年時点で約9千人。約2万3千人いる保育所の待機児童数よりは少ないが、親にとっては悩ましい現状だろう。最初から諦めて申し込まない家庭など、潜在的な学童保育の希望者は低学年だけで40万人を超えるともいわれる。
少しでも多くの子どもを受け入れるために、70人を超える大規模なクラブもあり、落ち着いて過ごせないという問題も生じている。
今まで存在しなかった「学童の基準」
子どもの健やかな育ちのためにも、女性の就労を後押しする意味でも、放課後を安心して過ごせる場所は必要だ。
追い風は吹いている。
15年度から、新しい子育て支援制度が始まる予定だ。名称は「子ども・子育て支援新制度」といい、様々な子育て関係の支援を、包括的にまとめようとしている。消費税の増税分から7000億円を投入し、子育て支援サービスの量を増やすとともに、質の向上を図ることを目指しており、学童保育もこの拡充対象の1つに位置付けられた。
これに伴い、初めて国の省令で基準が定められることになった。昨年12月に専門家による検討会の報告がまとまり、3月までに省令になる予定だ。基準の内容は、決して驚くようなものではない。クラブには原則2人以上の職員を置く、うち1人は研修を受けた有資格者とする、などだ。
だが、これまではこうした基準すらなかったことを考えると、大きな一歩だろう。施設の面積や全体の規模などについても数値が示され、これをもとに自治体が条例を定める。
とはいえ、まだまだ安心はできない。
各自治体のルール作りがまもなく始まる
新制度では、保育をはじめ様々な子育て支援サービスが拡充の対象になる。国も自治体も予算には限りがある。その中でどれだけ学童保育に振り向けられるかは、未知数だ。