妻と交代で送り迎えを行なっている浅井さんは、営業職という業務の特徴を活かし、たとえば午後7時のお迎えに行きたい時には、クライアントとのアポイントメントを午後5時に入れるようにして、訪問が終わったあと、そのまま迎えにいって帰宅する。

 一方、朝の送りをしたい場合はアポを午前10時に入れ、直行にして、子どもを保育園に送る。

 以前、妻の仕事が忙しくて、一週間ほどお迎えを頼まれたことがあった。その時は、連日、夕方5時のアポを入れて直帰にしたので、さすがに周囲の目が気になった。

 「本当は、もっと堂々と送り迎えがしたいんです。でも、なかなかそうもいかないのが現状なんですよね」

 フレックスタイムや短時間勤務の制度など、従業員のワーク・ライフ・バランスや子育て支援のための制度は充実しつつある。

 しかし、このような制度は、企業の中でも「子育て中の女性が利用するもの」という認識がどこかにあって、まさか働き盛りの男性社員が、保育園の送り迎えのために遅刻・早退をせざるを得ない状況になっているとは思われていない。

 浅井さんは「もし会社に『娘のお迎えに行くので早めに帰ります!』なんて言ったら、評価にも影響するでしょうね」と、悲観する。

 だから、今は “直行・直帰”の秘策を使うしかないのだ。

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