リビクロやシュークロをリフォームで作ることも可能
河崎さんが中心になって「収納3姉妹」を提唱したのが2011年。以来、同社では新築住宅のプランにその考え方を積極的に提案し、間取りに採り入れるケースも増えている。また新築住宅だけでなく、既存の住宅にリフォームで後付けすることも可能だという。例えばリビクロはリビングに収納用の壁を設置するだけなので、6畳のリビングに壁を設置して4畳半のスペースにすれば、1畳半分の収納を確保できる。
「4畳半のリビングというと狭く感じるかもしれません。でも壁の前に家具を置かなくてよいので、アートを飾ったり、壁掛けテレビを置いたりすることもできます。モノだらけの6畳より、意外と広く感じるものですよ」
玄関はスペースに制限があるので、既存のタタキの中に新たに設けるのは難しいかもしれない。だが玄関回りの間取りに余裕があれば、リフォーム可能な場合もある。
「例えば玄関の横にあまり使っていない小さな和室などがある場合は、その部屋の扉を広げて玄関と一体化させることができます。そのスペースの一部をシュークロにし、一部は土間などにして地域の人に気軽に入ってもらえるようにすると、コミュニティーが広がって楽しい暮らしになるでしょう」
可動収納で子どもに社会性や片付ける習慣が身に付く
ところで子育て中のDUAL世代にとっては、子ども部屋の収納も気になるところだろう。河崎氏に聞いたところ、特に2人以上の子どもがいる場合は可動収納がお勧めだという。
「子どもが小さいうちは可動間仕切り収納を壁ぎわに置いて一つの部屋を広く使い、成長に合わせて自由に仕切って独立性を高めていくことがお勧めです。小さいころから自分専用のクローゼットを与えることで、自然と片付ける習慣も身に付くでしょう」
可動間仕切り収納の例。少し仕切って勉強コーナーを作ったところ。完全に仕切ることもできる
これから家を建てる人も、既に家を持っている人も、「収納3姉妹」や可動間仕切り収納の考え方は大いに参考にしてほしい。収納問題を解決できれば、忙しい毎日でも家の中がスッキリ片付いて家事の効率が高まったり、子育てしやすい環境を実現したりできるだろう。
収納三姉妹のカタログに掲載されているプランの例。このタイプは廊下との両面収納を備えたリビクロが特徴だ。4LDKで図の1階の床面積が65.27平方メートル、2階の床面積が59.49平方メートル、延べ床面積が124.76平方メートル(37.73坪)
こちらは屋外用品も収納できる大き目のシュークロが特徴。4LDKで図の1階の床面積が37.36平方メートル、2階の床面積が39.36平方メートル、3階の床面積が39.36平方メートル、延べ床面積が116.08平方メートル(35.11坪)
(文/大森広司、写真/山田 哲也)
■共働きファミリーが暮らす家について、もっと知りたい方はトモイエlabへ