人事グループ長とダイバーシティ推進グループ長を兼務する田中英樹さん
旭化成グループでは、「人は企業において最大の財産である」という考えのもと、古くからワークライフバランスの向上に繋がるような対策に取り組んできた。1974年から導入した、育児休暇制度もそのひとつ。当初は女性社員を対象に、「子どもが1歳になるまで取得することができる休業制度」としていたが、92年には男性社員にもその対象を拡大した。だが、スタート時はなかなか取得する男性社員は少なかったという。
「実は、制度導入より10年あまり経っても、男性の育児休業取得者数は、数人に留まっていました。そこで、なぜ育児休業を取得しないのか、どうすれば取得してもらえるのか、実際に現場の声を吸い上げて検討することにしたのです」。そう話すのは、旭化成株式会社の人財・労務部で人事グループ長およびダイバーシティ推進グループ長を務める田中英樹さんだ。
30歳前後の男性社員8人を集め、「育休を取らない本当の理由」を探る
同グループでは、2005年に労使で30歳前後の男性社員8人を集め、「ニューパパプロジェクト」を発足。男性社員の育児休業取得が進まない理由と改善策について、2カ月間にわたって議論を重ねた。その結果、育児休業取得が進まない理由として、「配偶者が育児休業を取得する、または専業主婦の場合、男性が育児休業を取得する必要性が低いのではないか」「育児休業取得者率が低いなか、自分だけが取得してしまうと、昇進などに影響するのではないか」「育児休業を取得することで収入減となってしまうのではないか」といった声が挙がった。
このような問題点を踏まえ、2006年には次のように育児休業制度を改定した。