日本男性の家事・育児時間は「26カ国中25位」

 夫婦同伴型の両立支援セミナーは花王大成建設も開いている。大成建設は恋人同士の参加もOK。仕事と家庭の両立について結婚前からじっくりと考えてほしいという会社側の願いが込められている。

 国際比較でみても、日本男性は家庭での存在感が希薄だ。経済協力開発機構(OECD)は2014年3月に主要26カ国の生活時間調査をまとめた。日本男性が家事・育児に費やす時間は1日当たりわずか62分。最も長いデンマーク(186分)の3分の1程度で、26カ国平均139分の半分にも届かない。アメリカ(161分)やイギリス(141分)、ドイツ(164分)などの主要国に遠く及ばず、日本男性の短さは26カ国中25位。その分、日本女性は1日299分を家事・育児に使っており、こちらは6番目の長さだ。

経済協力開発機構調べ
経済協力開発機構調べ

 家事・育児をどう分担するかは、あくまでも各夫婦の選択でもある。本来勤務先が介入すべき問題ではないかもしれないが、日本では家庭の役割分担が妻に偏りすぎており、企業としても見過ごせなくなっている。

 特に子育て支援が充実した企業では、手厚い制度を女性社員がますます使うようになり、その分、夫側は仕事に集中し、家庭内の役割分担が一層偏る事態を招く。夫婦とそれぞれの勤務先。4者の中で一番得しているのは夫の勤務先だ。なにしろ子育て支援のコストやリスクを取らずにパパ社員を思う存分働かせることができるのだから。夫婦同伴セミナーは、こうした理不尽な構図に妻側の勤務先がくさびを打ち込む思惑もある。

 日本経済新聞は2013年11月にマクロミルの協力を得て、働く世代1000人調査(男女各500人)を実施した。

 女性の活躍推進と子育てを両立するのに必要なものは何かを尋ねた質問で、「夫の理解と協力」25%が最も多く(複数回答)、「産休・育休の拡充」「保育所の拡充」「柔軟な働き方」といった社会や企業の取り組みを上回った。

 共働き時代にふさわしい働き方を個人だけでなく、企業も考える時期に来ている。

(日本経済新聞編集委員 石塚由紀夫)