雨にもかかわらず、大勢の親子が訪れた東京私立男子中学校フェスタ。そのメーンイベントが男子御三家中学校の校長によるパネルディスカッション
御三家の校長先生によるパネルディスカッションは、大勢の親子が熱心に耳を傾けていました。息子がいるものの、”御三家”とは無縁の我が家では、正直言って「聞いても仕方ないかな」と思いましたが、親として、母親として、大変勉強になるお話でした。前編「御三家校長が語る、男子校で学ぶ神髄」に引き続き、後編も心に刺さる話が続きます。
「中学の低学年の間は塾や予備校には行かせないでください」
北原福二校長(本郷中学校) 校長として、生徒に対してどのような取り組みを志しているか、お聞かせください。
平秀明校長(麻布中学校) 今、どこの私立中学も入学試験をくぐり抜けないと入学できないわけですね。そのために、小学校の4年生くらいから、好きなスポーツとか、趣味なんかを切り上げて塾に通ったり、家庭教師についたりして、したいことを我慢して入学してくるわけです。
そういう生徒さんたちが300人も入ってくるのですが、「6年後の大学受験を考えて勉強しなさい」と初めからいうと、生徒の心が折れてしまいます。保護者のいうことをきいて目的の中学に入ったのに、言われることは「また同じか」と思ってしまうんですね。
私は中学の入学式では「中学の低学年の間は塾や予備校には行かせないでください」ということを言っています。学校の教員が手を変え品を変え、色々な料理のように工夫をこらした授業をやっています。それをしっかり食べてくださいと。
あとは、クラブですね。クラブに入ると一生その関係は続きます。教師が言っても聞かないことが、先輩の一言でパッと聞きます。教師としては、なるべく細かいことは言わない。勉強が遅れていても、その子がイキイキして、あるモノに熱中していれば、それは私は安心なのではないかなと思っています。
社会に出てからの人間関係というのは、どうしても利害関係で結びつくことが多いです。中学高校時代というのは、たとえ大学がどこに入ろうが、社会で地位の差が出ようが、童心に返って何の利害関係もなく、つきあえる友達です。そういう時代を温めていけるように楽しい学校であるようにしたいと思っています。
麻布中学校の平秀明校長。中高6年間は科学部に所属。大学の工学部を卒業した後、教育学部に入学し直した