東大は世界では23位に過ぎない 広いマーケットで通用するほうがいい
ロケット好きな長男を、米国のNASAジョンソン宇宙センターに連れていったときの1枚
木村宏一さんの家には約束がある。
「(小学4年の長男が通う)東京コミュニティースクール(東京・杉並区。以下、TCS)の漢字テストで6割以上の点をキープした月は、宿題が終わった後から消灯時間(20時30分)まで、『iPad』かゲーム機を自由に使っていい」というものだ。
実はその時間を使い、長男は「YouTube」でスタンフォード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)の大学生が飛行機を作って飛ばす実験の画像を繰り返し見ているのだ。
「体育館のような大きなホールで、学生達が飛行機を作って飛ばしている。アメリカの有名大学はそうした魅力的な動画をネット上にどんどんアップしています」と、木村さん。
長男は幼い頃から、何かを作ることへの興味があった。
「電車、建物、ロケット……と興味の対象は変わるものの『何か作りたい』ということは一貫している。小学校1年のとき、0系新幹線の設計図が載っている鉄道雑誌をヤフオクで競り落としてくれとせがまれたこともあります。将来はモノを発明したい、そして根津嘉一郎(東武鉄道の創始者)のように、事業を興したいと言っています」(木村さん、以下同)
息子を米マサチューセッツ工科大学(MIT)に進ませることも検討中
小学4年にして、やりたいことが明確な長男。「YouTube」を見ながら「自分だったらこうやって作るのに」とつぶやく姿を目にするにつけ、では、彼が見ている動画を発信している大学に進ませるのはどうかと考えるようになった。
「今や世界の有名大学がオンラインで授業を配信している時代です。高度な教育を受けることだけが目的であれば、独学も可能。その意味では、もはや“大学”すら不要なのかもしれません。しかし、海外の大学に通うメリットはとても大きい。国際的な卒業生ネットワークに入ることができるからです。そうしたネットワークは、仕事上の大きな助けになります」
木村さん自身が国際特許の仕事をするなかでも実感するのは、今のマーケットは完全にアメリカ、そして中国が中心だということだ。
「日本が先細りしていくなかで、どんな進路を選ぶにせよ、広いマーケットに適応できるようにしておかないといけないと考えます。東大を出たとしても、世界ランキングではトップではない(※1)。せっかく努力をして大学に入るなら、スタンフォード大学やMITに行ったほうが、長男がやりたいことができるはず。それに加えて、幅広いチャンスも得られると思うんです」。
(※1)高等教育専門誌 Times Higher. Education発表の2013-2014世界大学ランキングでは、東京大学は23位。スタンフォード大4位、MIT5位の結果だった。