夫婦ともに大手広告代理店に勤める恵美さん(仮名・35歳)は、ベビーシッターなしでは仕事の継続は難しい、と言う。
ふたりとも責任ある立場で仕事が忙しく、さらに保育園が家から遠いという事情も重なって、送り迎えさえできない時もたびたびある。そこで、ベビーシッターに任せることで、夫婦で安心して仕事ができるのだ。
「本当に大助かりです。家に帰ってから、様々な家事に煩わされず、自分の時間も持てるので、精神的な余裕も生まれますね」
利用者のかゆいところに手が届くサービスなだけに、料金も決して安くはない。事業所によって異なるが、一時間3000円ぐらいが相場であり、いくら共働きで稼いでいるとはいえ、負担は大きい。
恵美さん夫妻の場合は、会社の補助があり、一時間1200円でサービスを利用できる。が、それでも保育園料と合わせると月10万円以上はかかるのだから、相当な出費だ。
ほかにも、地域の自治体が運営するファミリー・サポート・サービスがある。これは、地域の子育てを応援したい人と、子育てを助けてほしい人が登録する会員組織である。
子育てを応援する側は、仕事をリタイアした中高年の人が中心で、ボランティア的な要素が強い。そのため、金額は一時間あたり800円程度と、比較的安価で利用できる。
NPO法人の代表を務める優子さん(仮名・34歳)は、このサービスを積極的に活用しているひとりだ。金額が安いという以外にも、大きなメリットを感じている。
「サポート会員の方が、みなさん近所に住んでいるので、緊急の仕事が入った時などに、すぐに来てもらえるのがうれしいですね。それに、古くからこの地域に住んでいる方も多く、地域の情報を教えてもらえるのも助かります」
登録しているサポート会員が少ないこと。それに、ベビーシッターのように事業所からきっちりとした教育を受けているわけではないので、行き届かない面があることなど、不十分な点もあるというが、優子さんにとって、このサービスはなくてはならない存在だ。
「子育ての経験が豊富で、感じのいい人はみんなが頼みたがるので、いつも受けてもらえるとは限りませんが、定期的に来てもらえるようになれば、これほどいいサービスはありません。今後も利用していくつもりです」
中には、ファミリー・サポート・サービスとベビーシッター・サービスとを併用している人もいる。
共働き夫婦にとっては、こうした第三者機関も心強い味方だ。