「いい子にしててね」では何も伝わらない

 伝え方には、以下の4つがあります。

 1) 行動を具体的に表現する
 2) 肯定的表現を使う
 3) 共感的表現を使う
 4) 環境を整える

 一つひとつ見ていきましょう。

 ここで、問題。ゆっくり時間をかけて、頭の中でイメージしてから答えてくださいね。

【問題】
 今日は大事なお客さんが来る日です。ママは5歳の太郎くんに言います。
 「太郎くん、これからお客さんが来るからいい子にしててね」
 太郎くんは機嫌がよかったので、こう答えます。「うん! わかった!」

 さあ、ここで問題です。太郎くんに、ママの話は何%伝わったでしょうか? 

 答えはいくつでしたか? 20%? 60%?

 こう聞かれると、ほとんどの人は、0~50%の間の数値を答えます。この問題に正解となる数値は特にありませんが、今の問題に出てきた「いい子にしててね」では、実はほとんど伝わっていません。大人なら伝わる便利な言葉、「あいまいな表現」は、子どもには伝わりにくいのです。

【あいまいな表現の例】
 「いいかげんにしなさい」
 「何度言ったら分かるの?」
 「いい子にしなさい」

 思わず言っちゃいますよね。「こら! いいかげんにしなさい! 何回言ったら分かるの!」と。

 子どもは3歳にもなると、表面上は会話が成立するようになります。だから、親は「いい子にしててね」と言って、「うん、分かった!」と言われると「分かってもらえたわ」とコロッとだまされてしまうのです。

 実際、子どものほうはどうかというと、ほとんど分かっていない(苦笑)。あるいは、分かってはいて、理解もしようとはしていても、親がイメージしていることとはかなりの落差がある。

 でも、親としては会話は成立しているし、約束もしている。だから、子どもができなければ怒るわけです。

 「約束したじゃん。自分で『分かった』って言ったじゃん。なんでできないの!?」と。

 もちろん、子どももわざとやっているわけではありません。

 分かっていない、伝わっていないのです。